抄録 |
HCV遺伝子構造による自然免疫RIG一一1経路阻【目的】細胞内センサー分子RIG-1を介したインターフェロン産生誘導経路は自然免疫におけるウイルス排除の重要なシステムである一方でウイルスも多様な機構を発達させて拮抗している.且CVにおいてはNS3/4A蛋白が同経路を阻害することが報告されているが変異に富むHCVにおいて異なるHCV株で阻害活性が同じであるのか明らかではない.今回我々はHCV構造によるRIG-1阻害活性の違いさらにHCVの細胞内増殖能との関連について検討した.【方法】1.2種のHCVレプリコン(HCV-NHC-J4)を用いnaiveHuh7細胞へのtransfectionによって増殖能を比較した.2.2種のHCV由来のNS3/4A発現プラスミドを構築RIG-1シグナルに与える影響をRIG-1経路分子発現プラスミドISREレポーター・プラスミドとのco-transfectionにより解析した.3. RIG-1経路がKnockdownされているHuh7.5.1.細胞におけるHCV-NHC-J4レプリコンの増殖能をtransient assayにより検討した.【結果】1.Naive Huh7においてHCV-NレプリコンはHC-J4レプリコンより約100倍高い細胞内増殖を示した.2.RIG-1MDA-5IPS-1によるISRE活性化はHCV-N由来のNS3/4A蛋白を共発現にて約30-50%に抑制された.一方HC-J4由来のNS3/4A蛋白によるISRE活性化阻害はHCV-Nに比して有意に弱かった(ISRE活性;60-100%).3.Huh7.5.1.細胞においてはHC-J4レプリコンの細胞内増殖能は著明に充噛しHCV-Nレプリコンの増殖能と有意差を認めなかった.【結語】個々のHCVの増殖力の違いにNS3/4A遺伝子構造による自然免疫阻害能の違いが関与する可能性が示唆された. |