セッション情報 シンポジウム9.

ウイルス肝炎・肝癌に対する生体防御

タイトル

S9-04 C型慢性肝疾患患者における制御性T細胞・Th17細胞の動態とその意義

演者 海老沼浩利(慶應義塾大学医学部消化器内科)
共同演者 齊藤英胤(慶應義塾大学医学部消化器内科), 日比紀文(慶應義塾大学医学部消化器内科)
抄録 【背景及び目的】C型慢性肝炎(CH-C)ではウイルスの持続感染が成立すると炎症が持続緩徐に病期が進行いずれは肝硬変(LC)・肝細胞癌(HCC)へと進展する.この進展には宿主のウイルスもしくはウイルス感染細胞に対する免疫応答が重要な役割を担っていると考えられている.実際CH-C患者においてT細胞機能が抑制されておりその理由の一つに制御性T細胞(regula・tory T cell以下Treg)の関与が考えられている.しかしこのTregがいつどこでどのように誘導されたかどのような役割をはたしているかは未だ明確には解明されていない.そこで今回はCH-C患者におけるTregの動態をTh17とあわせて解析しその役割を推測した.【方法】Informed consentのt尋られたC型慢性肝疾患患者の末梢血からリンパ球(PBMC)を分離しanti-CD4CD25FOXP3で染色fiowcytometryにて解析しTregすなわちCD4+FOXP3+細胞の頻度を解析した.また一部門症例ではan五一In7を交えて染色しtそのCD4+皿17+細胞をTh17細胞としてその頻度を解析した.さらにTregが末梢血で誘導されるかどうかについてHCV recombinant protelnと高濃度IL-2を用いたin vitro expansionの系で解析した.【結果】C型慢性肝疾患患者では健常人と比較しPBMC中のTregすなわちCD4+FOXP3+細胞の頻度が増加していた.さらにLCHCCの患者ではTh17すなわちCD4+IL17+細胞の比率がCHの患者に比べ低下し相対的にTreg/Th17バランスが増加している傾向にあった.またPBMCからin vitroでHCV spechic Tregを誘導することができたがこの誘導はTGF-betaの添加で増加した【考察及び結論】CH-Cでは過剰な免疫応答を押さえるためにTregが誘導され免疫寛容の状態となっている.しかしLCHCCと進展するとTh17の比率が低下しTregが相対的に増加することから炎症が弱まり肝発癌のリスクが増加すると推測された.
索引用語