セッション情報 |
シンポジウム9.
ウイルス肝炎・肝癌に対する生体防御
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タイトル |
S9-05 Interferonシグナル伝達を抑制するHCV蛋白の機能および作用エピトープの解析
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演者 |
坂本直哉(東京医科歯科大学分子肝炎制御学誘座) |
共同演者 |
田坂めぐみ(東京医科歯科大学消化器内科), 渡辺守(東京医科歯科大学消化器内科) |
抄録 |
【目的】HCVは免疫系の正常な個体に慢性持続感染を引き起こす特異なウイルスであるウイルス増殖のPAMPである二重鎖RNAはRIG-1MDAなどにより認識されインターフェロン(IFN)産生などの抗ウイルス応答を惹起するが種々のウイルスはこの応答経路を遮断し感染を成立させることが知られている.今回我々はHCV発現・増殖細胞を用いIFN発現応答に干渉するウイルス蛋白の機能およびその作用エピトープの解析を行った.【方法】肝細胞(Huh7)心肝細胞由来(HeLaHEK293)のHCV replicon発現細胞およびHCV-JFHI感染細胞を用いた.細胞にpoly 1-C(二重鎖RNA)を導入またはRIG-1を強制発現しIFNβ転写活性をレポーターアッセイにより解析したHCV非構造蛋白(NS3NS34ANS4ANS4BNS5ANS5B)とRIG-1CardifTRIFIKKεおよびTBK1をそれぞれ強制発現しIFNβ転写活性を解析した.さらにNS4Bのtruncated plasmidによりRIG-L Cardifとの細胞内共局在および1FN発現応答を解析した【成績】HCV replicon発現細胞HCV培養細胞ではいずれもpoly I-CによるIRF3二量体化RIG-1依存性ISRE活性化が消失・減弱しrepliconを除去することによりISRE活性化が回復した.個々のHCV蛋白の発現解析により既報のNS3/4Aに加えNS4BにRIG-1依存性IFN産生応答の抑制が認められ作用レベルはCardifと考えられた. TruncatedNS4Bによる解析にてNおよびC末端側のエピトープが作用発現に関与していた.免疫染色にてNS4B蛋白は主に小胞体に局在するがCardifRIG-1との強い共局在は観察されなかった【結論】HCV感染細胞においてNS4BはNS34Aとは独立してCardifを間接的に阻害することによりRIG-1依存性IFN産生応答を遮断し生体におけるHCV慢性持続感染に関与することが示唆された.この機構に関連する分子間相互作用のエピトープをさらに特定し治療標的とすることがHCVの病態制御に結びつくと考えられる. |
索引用語 |
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