セッション情報 |
シンポジウム9.
ウイルス肝炎・肝癌に対する生体防御
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タイトル |
S9-09 調製法の異なる樹状細胞を用いた肝癌治療戦略
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演者 |
中本安成(金沢大学消化器内科) |
共同演者 |
水腰英四郎(金沢大学消化器内科), 金子周一(金沢大学消化器内科) |
抄録 |
【目的】肝細胞癌(肝癌)の局所制御に関する近年の進歩はめざましいが生命予後を改善するには二次発癌を克服することが必要であるこれまで我々は肝癌の局所治療に併用できる抗腫瘍免疫療法の開発に取り組んできたそして肝動脈塞栓療法(TAE)と同時に樹状細胞を投与する手法が安全に施行できることを報告したそこで肝癌に対して各種調整を施した樹状細胞を用いる免疫療法の安全性と治療反応性を検討した.【方法1樹状細胞の誘導は末梢血単核球から接着細胞を分離しGM-CSFH.一4を含む培地中で培養した.得られた未熟樹状細胞に対してペプチド(SART-3)または免疫賦活物質OK-432を添加培養した際の活性化成熟度の変化を検討した安全性に関してヌードマウスを用いた検討の後TAEの適応となった肝癌合併C型肝硬変患者に対して5×106個の樹状細胞を経カテーテル的に肝癌組織に投与する臨床試験(未熟群:n=10ペプチド群:n=60K-432群:n=12)を施行した【成績】GM-CSFIL-4刺激によって誘導される未熟樹状細胞と比べてペプチド刺激樹状細胞の表面マーカーに変化を認めなかった.これに対してOK-432刺激では成熟度・活性化マーカーCD83の発現が100倍以上に尤進していたFITC一一dextranを用いた樹状細胞の貧欲能は成熟化とともに低下した.マウス投与実験では3ヵ月間の経過観察において活動性や体重低下を認めなかった.そこで臨床試験を施行したところ各群間で副反応有害事象の出現に差異がないことを確認した.治療反応性に関して樹状細胞投与後にAFPを含めた腫瘍抗原エピトーブに対する一過性のCTL反応(ELISPOT法)を認めた【結論】肝癌合併C型肝硬変患者に対してペプチド刺激またはOK-432刺激によって調製した樹状細胞とTAEを併用する治療法の安全性と抗腫瘍免疫の誘導が示されたこれより樹状細胞療法が肝癌の二次発癌制御の選択肢となる可能性が示唆された |
索引用語 |
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