セッション情報 パネルディスカッション1.

消化器領域におけるゲノム解析の現状と展望

タイトル

PD1-02 エピゲノム解析による大腸発癌の分子機構と診断・治療への応用

演者 豊田実(札幌医科大学内科学第一講座)
共同演者 今井浩三(札幌医科大学), 篠村恭久(札幌医科大学内科学第一講座)
抄録 【背景と目的】大腸癌の発生と進展にはジェネティックエピジェネティックな異常が関与する、本研究ではDNAメチル化のゲノム網羅的解析により得られた情報から新しい大腸発がん経路の解析診断・治療への応用について検討した.【方法】遺伝子発現に関してはmicroarray法real-time PCR法によりDNAメチル化に関してはpyrosequence法によりピストン修飾に関してはクロマチン免疫沈降法により解析した.またp53K-rasおよびBRAFの遺伝子異常についてdirect sequence法により解析した【結果】メチル化阻害剤により発現誘導される遺伝子のゲノムスクリーニングにより1414遺伝子が2個以上の大腸癌細胞株においてメチル化により遺伝子サイレンシングを受けていた(PlosGenet2007)メチル化されているCpG islandの近傍にはタンパクをコードする遺伝子以外に多数のmicroRNA機能性RNAが存在していたまた一部の遺伝子では遺伝子発現の抑制にDNAメチル化非依存性かつピストンH3K27依存性あるいはmicroRNA依存性の遺伝子サイレンシングの経路があることが明らかとなった.pyrosequence法による定量的メチル化解析によりSFRP1は加齢によりメチル化されることが明らかとなった。一方癌特異的なメチル化はCpG island meyhylator phenotype(CIMP)に強く相関しhMLHのメチル化およびBRAFの変異を高率に有するCIMP1K-ras変異を高率に有しMSI陰性のCIMP2CIMP-negativeに分類された(Proc Natl Acad Sci USAin press). CIMP2は3群中最も予後不良でありより強力な化学療法の必要があることが示唆された.また異常メチル化は糞便中から検出が可能であり早期診断のマーカーとして有用な可能性が示唆された.【結論】エピジェネティックな異常の網羅的解析により大腸癌はCIMPの有無により3つの発癌経路により発生すると考えられ診断・治療法の選択にCIMP分類が有用な可能性が示唆された.
索引用語