セッション情報 パネルディスカッション1.

消化器領域におけるゲノム解析の現状と展望

タイトル

PD1-05 日本人クローン病感受性遺伝子(TNFSFI5-HLA-DQB1TNFα)と長期予後との関連について

演者 松浦真樹(東北大学消化器病態学)
共同演者 野村栄樹(東北大学消化器病態学), 木内喜孝(東北大学消化器病態学)
抄録 【背景と目的】炎症性腸疾患は多因子疾患であり連鎖解析・相関解析よりいくつかの疾患感受性座位・遺伝子が報告されているこれまで日本人のクローン病(以下CD)感受性遺伝子としてTNFsF15HLA-DQBI、TNFαが報告されている.今回これらの感受性遺伝子とCDの長期予後(累積非再燃率T累積非手術率)につき検討した.【方法】1998年1月から2006年12月まで当科を受診したCD患者を対象としTNFSF15-360C/T(risk a工lele:C)HLA-DQβ1(risk allele;*04)TNF promoter-857T/C(risk allele;T)についてgenotypingを施行した.CDの緩解・再燃基準を設け(緩解:CDAI 150以下となったもの.再燃:CDAI 200以上となったものもしくは症状が悪化し緩解導入療法を再施行したもの)長期予後についてKaplan-Meier法を用い感受性遺伝子毎に検討した.【結果1(1)TNFsF15-360(c/T)では255例(c/c群146例c/T群90例T/T群19例)につき検討したGRR(genotype relative risk)1(T/T群に対するC/Tの相対危険度)= 1.959GRR2(T/T群に対するC/C群の相対危険度)=2.542とrisk allele(C)はGene dose effectを認めたためC/C群とC/T群+T/T群問でも比較・検討を行った累積非再燃率の検討で50%累積非再燃率はC/C群が24ヶ月C/T群+T/T群が28ヶ月でありrisk homo群が有意に再燃までの期間が短かった(p=O0333).累積非手術率の検討では有意差を認めなかった.(2)HLA-D(⊇βヱでは237例についてrisk allele*04carrier群(119例)non carrier群(118例)の2群問で検討したが累積非再燃率・累積非手術合馬に有意差を認めなかった.(3)TNF promoter(一857T/C)では186例T/T群+T/C群69例C/C群II7例の2群間で検討したが累積非再燃率・累積非手術率共に有意差を認めなかった【結語】クローン病の疾患感受性遺伝子TNFsF15は再燃し易さに関係しHLA-DΩβ1やτNPαは長期予後には関係しなかった.
索引用語