| セッション情報 |
パネルディスカッション1.
消化器領域におけるゲノム解析の現状と展望
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| タイトル |
PD1-10 遺伝子変異による機能異常と膵炎
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| 演者 |
粂潔(東北大学大学院消化器病態学分野) |
| 共同演者 |
正宗淳(東北大学大学院消化器病態学分野), 下瀬川徹(東北大学大学院消化器病態学分野) |
| 抄録 |
【目的】近年慢性膵炎と関連する遺伝子異常が明らかにされている.1996年に遺伝性膵炎の原因遺伝子としてカチオニックトリプシノーゲン(uniGene名:PRss1)の機能獲得型変異R122Hが同定された.2000年には膵分泌性トリプシンインヒビター(SPI]VKI)遺伝子変異と若年性膵炎との強い関連が報告された.最近ではアニオニックトリプシノーゲン(PRSS2)の多型G191Rによる機能喪失が膵炎発症に抑制的に働くことが報告されている.今回本邦におけるこれらの遺伝子異常と臨床像を検討した【方法】慢性膵炎患者185例(男女比143:42成因別:遺伝性9家系家族性12家系アルコール性93例特発性58例自己免疫性13例)と健常者527例を対象とした.末梢血白血球からDNAを抽出しPRSSI5PIM(1PRSS2の遺伝子変異をdirect sequenceもしくはPCR-RFLPにより解析した.【成績】PRSSIのR122Hを遺伝性膵炎の6家系N291を1家系に認めた. SPINKIのN34SとIVS3+2T>Cをそれぞれ家族性膵炎の5家系(42%)と1家系(8%)特発性の6例(10%)と7例(12%)アルコール性の0例(0%)と3例(3%)自己免疫性の1例(8%)と0例(0%)に認めた.IVS3+2T>Cはexon3畑鼠による機能喪失型変異であった.N34S陽性患者の発症年齢は平均29歳と若年であり膵癌合併が変異陰性群に比べ高率であった.PRSS2のG191Rを健常対照群378例中25例(6.6%)慢性膵炎群205例中3例(1.5%)に認め患者群で有意に低頻度であった.【結論】わが国でもPRSS1の機能獲得型変異が南島性膵炎の原因と考えられた.SPIM(ユの変異はN34Sの他機能喪失型変異IVS3+2T>Cの頻度が高いことが本邦の特徴であった.PRSS2の機能喪失型多型は本邦健常人でより高頻度であり慢性膵炎の発症を抑制すると考えられた. |
| 索引用語 |
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