セッション情報 |
パネルディスカッション2.
高齢者における消化器疾患の治療
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タイトル |
PD2-01 高齢者早期胃がんに対する内視鏡的切除の現状
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演者 |
後藤田卓志(国立がんセンター中央病院内視鏡部) |
共同演者 |
草野央(国立がんセンター中央病院内視鏡部), 小田一郎(国立がんセンター中央病院内視鏡部) |
抄録 |
く背景〉内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)は従来外科切除の対象であった病変に対しても内視鏡的な根治切除を可能とした、一:方で高齢者早期胃がん治療において低侵襲という一面から適応を越える病変に対して患者・家族には非常に魅力的な新たな選択枝となりつつあることも事実である〈目的〉内視鏡切除が施行された早期胃がん患者の年齢構成の変遷と高齢者(80歳以上)と若年者(65歳未満)とに分けた切除後の経過を検討する<対象>1990年~2005年までに内視鏡切除が施行された早期胃がん2531症例を対象とした.<結果>1.治療前の適応はガイドライン適応拡大および相対適応の順で高齢者で56%32%12%若年者ではそれぞれ60%31%9%と差を認めなかった.2.治療成績は高齢者で治癒切除が67%非治癒切除が23%であったのに対して若年者ではそれぞれ73%と18%であった.3.非治癒切除例の経過において若年者では195例中137例(71%)が標準治療として追加外科切除を受け高齢者では55例中45例(84%)が無治療経過観察されていた.無治療経過観察中に3例(リンパ管侵襲:2例粘膜下層断端陽性:1例)の胃癌死11例の他病死を認めた.〈考察〉“がんを切除した”という意味では満足がいく治療:方法ではあるかもしれないが“がんを根治しだという意味では果たして満足がいくのか疑問である.「高齢」「患者の希望」という免罪符で外科手術と無治療との中間としてのESDの位置づけを拡大するのではなく超高齢化社会の到来とともに費用対効果も考慮したコンセンサスやガイドラインの検討も今後必要と思われる. |
索引用語 |
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