セッション情報 パネルディスカッション2.

高齢者における消化器疾患の治療

タイトル

PD2-03 高齢者早期胃癌に対するESD適応についての検討

演者 万井真理子(神戸大学医学部附属病院光学診療部)
共同演者 森田圭紀(神戸大学大学院医学系研究科消化器内科学), 豊永高史(神戸大学医学部附属病院光学診療部)
抄録 【目的】高齢化社会に伴い高齢者に消化器癌の治療が必要となる機会が増加している.近年急速に普及しているESDは各臓器機能の低下や基礎疾患を合併する高齢者に対しても低侵襲で有用性の高い治療法として期待される.今回高齢者早期胃癌に対するESDの安全性・根治性を非高齢者と比較検討しその妥当性を検討する【方法】2001年11月から2007年10月までにESDを施行された胃腫瘍性病変482病変のうち評価可能な早期胃癌患者365病変(中央観察期間834日)を対象とした.これらを75歳以上の高齢者(E群)l18病変74歳以下の非高齢者群(Y群)247病変の2群に分け主群で胃癌治療ガイドライン適応内病変・適応拡大病変の率基礎疾患保有率病変部位t切除標本径手術時間局所一括切除率治癒切除率術後出血および穿孔率を比較検討した【結果]適応内病変・適応拡大病変の率はE群で42.4%・57.6%Y群で51.8%・482%でありE群で適応拡大病変が多い傾向であった基礎疾患保有率はE群44.9%Y群35.6%でE群で高い傾向であった.病変部位はE群U:M:L 26.1%:21.6%:52.3%Y群U:M:L18.4%:2&1%:53.5%で差はなかった切除標本径はE群44.8mmY群38.3mmでE群の方が大きかった(p=0.0001).手術時間はE群84!7分Y群74.9分で差はなかった局所一括切除率は適応内病変でE群100%Y群98.4%適応拡大病変でE群95.6%Y群97.5%で差はなかった.治癒切除率はE群82.2%Y群85.8%でその内訳は適応内病変でE群96.O%Y群992%適応拡大病変でE群72.1%Y群71.4%で差はなかった.非治癒切除の理由はSM2以深が27病変(E群11病変Y群16病変)と約半数を占めた.術後出血率はE群6.8%Y群6.1%で差はなかった.穿孔率はE群6.8%Y群4.9%で差はなかった【結論】高齢者では基礎疾患保有率の頻度は高い傾向があるがESDの安全性・根治性は非高齢者と比較しても劣らず高齢者に対するESDは安全かつ根治性の高い治療として妥当であると考えられた.
索引用語