セッション情報 パネルディスカッション2.

高齢者における消化器疾患の治療

タイトル

PD2-05 高齢者における早期胃癌に対するESDの現況と問題点

演者 梅垣英次(大阪医科大学内科学第二講座)
共同演者 竹内利寿(大阪医科大学内科学第二講座), 樋口和秀(大阪医科大学内科学第二講座)
抄録 【はじめに】高齢化社会を迎え高齢者に対する内視鏡治療を行う機会も少なくない.高齢者は複数の慢性疾患をもったり日常生活活動度認知機能やQOLの保持が治療目標となることもあり特に80歳以上の超高齢者に対する内視鏡治療による生命予後の改善効果を疑問視する声もある.【目的1早期胃癌に対してESDを施行した65歳以上79歳未満の高齢者80歳以上の超高齢者を対象としてESDの現況と問題点を明らかにし高齢者特有の病態本人のQOLを考えた消化器内視鏡治療のあり方について考察する【方法】早期胃癌に対してESDが施行された症例416病変を対象として対象を高齢者(161名平均年齢71.5歳)と超高齢者(32名平均年齢82.9歳)に分類し基礎疾患病変の内訳(ガイドライン適応拡大適応外)治療成績t予後・経過同時・異時多発の面より臨床的検討を行った.【成績】(1)ESD全症例に対する高齢者(超高齢者)の占める割合は49.7%(8.7%)であった.(2)基礎疾患を有する患者は高齢者(超高齢者)で43.5%(62.5%)癌の既往や担癌患者の占める割合は13.7%(18.8%)であった.(3)高齢者(超高齢者)の症例内訳はガイドライン/適応拡大/適応外で各々77.3%/16.9%/5.8%(72.3%/19.4%/8.3%)であった(4)超高齢者では高齢者に比較して適応拡大・適応外の占める割合が増え治癒切除率が低下した.(5)高齢者(超高齢者)でESD後の定期的な経過観察を行えない患者は20.5%(28.1%)死亡例は4.3%(3.1%)であった.(6)多発病変を高齢者(超高齢者)で21.3%(13.9%)認めた.(7)非高齢者高齢者超高齢者で偶発症の発生頻度に有意な差を認めなかった【結論】高齢者に対するESDは非高齢者と同等のリスクで治療は可能であり高齢者と言う理由だけで治療を行わない根拠は少ないと考えられた.また多発病変を念頭においた術後の定期的な経過観察が重要であるが高齢者であるが故に困難な状況があり高齢者に対する内視鏡治療の問題点であると考える.
索引用語