セッション情報 パネルディスカッション2.

高齢者における消化器疾患の治療

タイトル

PD2-06 高齢者に対する食道癌EMR/ESD拡大適応の妥当性

演者 清水勇一(北海道大学消化器内科)
共同演者 加藤元嗣(北海道大学光学医療診療部), 浅香正博(北海道大学消化器内科)
抄録 【目的】従来まで深達度m3以深の食道表在癌症例に対しては原則的に郭清手術の適応とされてきたが食道癌は高齢者に好発することもあり手術侵襲は過大なことが多くEMRの拡大適応も治療の選択肢になり得ると思われる.我々は今まで積極的にm3sm癌症例に対しEMR/ESDを行ってきたが今回高齢者における治療成績について報告する.【対象】01年4月から07年4月までの期間に当科にて内視鏡切除が行われた食道癌症例152例のうちm3以深の症例は40例であった.今回はこのうち高齢を主な理由として拡大適応となった17例(m311例sm13例sm23例)について検討した.平均年齢74.5歳(70r86歳)男女比14:3で脈管侵襲は1y陽性5例であった.経過観察として通常内視鏡以外にリンパ節再発に対して切除後1年までは3ヶ月毎それ以降は6ヶ月毎にEUSを中心としたサーベイランスを行った.【結果】観察期間中央値43ヶ月の時点で転移出現症例は4例(235%)であった、「症例1」70歳男性m3症例.噴門リンパ節の増大が認められ手術を施行4年7ヶ月生存中.「症例2」79歳男性sm2症例頸部リンパ節の増大が認められ頸部郭清術を施行3年生存中.「症例3」72歳男性m3症例.縦隔リンパ節の増大が認められ高度肺気腫のため照射野を絞ってCRTを施行1年9ヶ月生存中.「症例4」77歳男性Sln1症例.傍腹部大動脈リンパ節の多発性の増大が認められ化学療法施行するも原病死された.3例が他病死されたため全体の5年生存率は67.8%であったが他病死を除く5年生存率は現在のところ938%であった.【考察結論】症例123については定期的なフォローアップにより早期の段階での治療が可能であった.5年生存率 678%は高齢者の長期予後としては容認できる成績と考えられる.以上より高齢者の食道表在癌に対してはまず最:小限の侵襲で済むEMR/ESDを行い転移再発に対する厳重なフォローアップの後必要に応じて追加治療を行うstep-up therapyが最も妥当であると考えられた.
索引用語