| セッション情報 |
パネルディスカッション2.
高齢者における消化器疾患の治療
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| タイトル |
PD2-07 高齢者食道癌患者に対する治療戦略
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| 演者 |
成宮孝祐(東京女子医科大学消化器外科) |
| 共同演者 |
中村努(東京女子医科大学消化器外科), 山本雅一(東京女子医科大学消化器外科) |
| 抄録 |
(目的)高齢者社会の到来により併存疾患を高率に有する高齢者の食道癌患者も増加しているが治療法については一定の見解は得られていない.食道癌の術前の併存疾患進行度合併症重複癌などを考慮し治療方針決定のための検討を行った.(対象)1996年から2005年までの食道癌手術症例553例中75歳以上の高齢者53例(9.6%)をA群化学放射線療法をおこなった195例中75歳以上の高齢者18例(9.2%)をB群とした.(結果)A群では術前の併存病変は75歳以上の高齢者群で心疾患(55%)呼吸器疾患(55%)脳疾患(13%)2個以上の併存疾患(25%)で有為差を認めた.高齢者群の食道癌以前の重複癌率(169%)と高率に認めた.進行度はTlT2が高齢者では77%と高率であり比較的進行していない食道癌を選択していた.術式は高齢者群では左開胸と非開胸手術が32%をしめ手術侵襲の少ない術式を選択していた.郭清領域は高齢者群では2領域以下は97%と手控えた郭清となっていた.術後経過ではICU滞在日数と在院日数は高齢者群で有為に延長を認めSIRSの持続日数は1.7±2.9日と高齢者手術の方が短く低侵襲手術をおこなったと思われる全生存率は高齢者が非高齢者に比べ有意に生存率が低下していたが他病死例を除くと有意差はなかった.手術合併症は高齢者群35.8%非高齢者群(29%)で差は認めなかった.B群高齢者13例(9.8%)のレジメンはLow dose CDDP+5-FUを多く使用しているが有害事象Grade3/4は高齢者と非高齢者にて有為さを認めないが6例(33%)に発生し1例が途中で中止となり2例は遅延した高齢者は胸水や心不全などの晩期障害が発生すると重症化する傾向にあった.(結語)高齢者食道癌切除例は手術死亡や合併症発生率などは差がなかったが遠隔成績では生存率の低下が認められ他病死の割合が多くなっている手術の適応は治癒切除可能な症例に限るべきであり治療しないことも考慮に入れた選択を行なうべきと考えられた.化学放射線療法も高齢者においては完遂するのが難しく晩期障害も多いため慎重に適応を決める必要がある. |
| 索引用語 |
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