セッション情報 パネルディスカッション2.

高齢者における消化器疾患の治療

タイトル

PD2-09 高齢者C型慢性肝炎に対する治療法の選択

演者 中川美奈(東京医科歯科大学医歯学総合研究科分子肝炎制御学講座)
共同演者 坂本直哉(東京医科歯科大学医歯学総合研究科分子肝炎制御学講座), 渡辺守(東京医科歯科大学消化器内科)
抄録 【目的】C型慢性肝炎に対するインターフェロン(IFN)療法は副作用が強く中止減量:で十分な投薬量を確保できないことが治療効果の低下につながる.高齢化社会が進む中で高齢者に対する工FN療法の適応基準が問題となることから高齢者におけるIFN療法の有効性と安全性につき検討をおこなった.【方法12004年12月より当院および関連施設でIFN治療を導入したC型慢性肝炎504例のうち最終効果判定可能であった302例を対象とした.平均年齢57.4才(21-77歳65歳以上75人(25%))男/女=161/141人.PEG/Riba 48週療法212例同24週療法61例PEG-IFNα2a単独療法29例.高齢者と非高齢者における治療効果投薬状況安全性につき比較検討を行った.【結果】PEG/Riba 48週療法におけるSVR(ITT解析)は65歳未満40%(63/159)に対して65歳以上は25%(13/53)と有意に低下した(p<0.05).一方同24週療法におけるSVRは65歳未満68%(32/47)に対して65歳以上は64%(9/14)と同等であり高齢者も非高齢者と同様の著効率を得た.PEG-IFNα2a単独療法におけるSVRは65歳未満76%(16/21)に対して65歳以上は50%(4/8)と低下をみたが有意差を認めなかった.副作用による中止率は非高齢者20%(45/227)高齢者28%(21/75)と高齢者で多かったが有意差を認めなかった.副作用中止は倦怠感血球減少などが多く認められたが重大な副作用の報告はなかった.NS5A領域のISDR変異の検討では65歳未満では野生型40%(28/70)中間型42%(16/38)変異型89%(8/9)でSVRが得られISDR変異型で著効率の有意な上昇を認めた.65歳以上では変異型の症例数が少なく(n=3)有意差を認めなかった【結語】PEG/Riba 48週療法は治療期間も長く高齢者は非高齢者に比し副作用申止が多く治療効果も有意に低下した高齢者C型慢性肝炎に対しては宿主因子の検討や遺伝子型により治療効果を的確に予測した上でIFNの適癒を決める必要があると考えられる.
索引用語