セッション情報 パネルディスカッション3.

消化器疾患診療ガイドラインの現状と問題点(指定)

タイトル

PD3-04指定 炎症性腸疾患診療ガイドラインの開発経過と問題点

演者 上野文昭(大船中央病院・消化器肝臓病センター)
共同演者 松井敏幸(福岡大学筑紫病院・消化器科), 日比紀文(慶應義塾大学・消化器内科)
抄録 日本消化器病学会の事業として主要消化器疾患に対する診療ガイドラインを作成中であり炎症性腸疾患もその対象の一つである.これに先立ちt厚生労働省研究班のプロジェクトとして潰瘍性大腸炎の診療ガイドラインが2006年に公開されクローン病診療ガイドライン開発のプロジェクトも先行していた.この状況を鑑み新たな診療ガイドラインはクローン病に同化し統括委員会の定める作成手順を遵守しながら共通の委員により本学会および研究班の共同開発の形で作業が進行中である.現在患者の視点を意識したクリニカルクエスチョンの作成・評価とそれに対する文献エビデンスの収集を終え各作成委員が適切な文献を選別している.さらに推奨ステートメントの作成方法からその評価に至るまで今後の作業計画の方向性に関する協議を終えたしかしこの時点で解決を図らなければならないいくつかの問題点が露呈している.具体的には1)医療提供者側の疑問と患者側の疑問が異なることが少なくない2)純粋に患者の持つ疑問はエビデンスを基に推奨を決めるという性質のものではない3)クェスチョンの性質によりエビデンスの質・量に大きな差異がある4)炎症性腸疾患の診療に役立つガイドラインを提供するためにはエビデンスのみに固執せず専門家の意見を汲み入れる必要がある場合が多いと推測される5)推奨グレード決定の際に専門家の意見をどのように介入させどのように透明性を保つかなどの点である.これらの問題点は他の疾患についても多少の差こそあれおそらく共通する部分が多いと考えられる.他のグループと十分な討議の上共通の解決法を模索して行きたいと考えている
索引用語