抄録 |
慢性膵炎は非可逆性進行性の膵の慢性炎症であり膵内外分泌部の脱落と線維化を特徴とする.本邦では2002年の疫学調査で45200人ほどの患者がいると推定されているが患者の平均寿命は66歳と短く生命予後の悪い疾患であることも明らかにされている.これまでエビデンスに基づいた慢性膵炎の診療全般にわたる指針は提唱されていない.日本消化器病学会の慢性膵炎診療ガイドライン作成委員会は2006年4月の第1回統括委員会後より活動を開始し8月CQの確定11月文献収集と選定開始2007年1月構造化抄録作成を始め、3月から推奨度決定作業を進めた.2007年10月のJDDWで中間報告を行ったがその時点で推奨度決定をほぼ終了している.内容的には60個のクリニカル・クェスチョン(CQ)を診断重症度・病期治療予後の4つのカテゴリーに分類した.1983年~2006年末までの論文を対象として欧文邦文併せて約4600編をPubMedと医中誌から検索し研究のデザイン臨床的意義エビデンスの高さによって592論文を選定し構造化抄録を作成した.必要に応じてhand searchにて文献を追加収集した.これらエビデンスから、レベルの高さばらつき臨床的有効性臨床上の適応性などを総合的に判断し推奨度を決定した.60のCQに対して99の推奨度が決定され内訳はグレードA18.1%B333%Cl 33.3%C211.1%D 4.0%であった.またエビデンスについては国内外のエビデンスを区別して記載し診断治療については可能な限り保険適応の有無についても記載するようにした.今後は系統的かつ機能的なCQの再配置推奨度決定過程の委員間での相互チェックエビデンスに乏しい領域の推奨度の決定法全体を通しての書式等の統一診断および治療に関するフローチャートの作成成因・疫学に関する記載などについて更なる検討を加え完成に近づける.公聴会などによって多くの専門医一般臨床医に意見を求め反映させる必要があると思われる |