セッション情報 パネルディスカッション5.

粘膜再生からみた炎症性腸疾患

タイトル

PD5-04 IL-10は分子シャペロンHsp47の発現を制御し腸管炎症に伴う線維化を抑制する

演者 武田康宏(京都大学消化器内科)
共同演者 仲瀬裕志(京都大学消化器内科), 千葉勉(京都大学消化器内科)
抄録 【目的】炎症性腸疾患における腸管の慢性炎症は線維化を来す.よって腸管線維化の病態解明は重要な臨床的課題である.Heat shock protein(Hsp)47はコラーゲン分子の構造形成と分泌に必要である.我々はIL-10KOマウスにおけるHsp47の発現を検討し腸管線維化に関与する役割を検討した【方法】(1)几一10KOマウスの生後481216週の腸管を取り出しRT-PCR法およびWestem BlotにてHsp47の発現を検討し免疫染色法にて発現部位を検討した(2)同マウスの腸管組織においてTGF一βの発現をRT-PCR法およびWestern Blotにて検討した.(3)NIH/3T3にTGF一β1を添加し01224時間後のHsp47およびproconagenα(1)の発現をRT-PCR法にて検討したさらにsiRNA-targeting Hsp47(siHSP47)発現プラスミドを導入し相互作用を検討した.(4)炎症関連サイトカイン(TNF一〔UL-1βIL-10)についても刺激試験をおこないHsp47の発現を検討した.【結果1(1)同職齢のWTに比べIL-10KOにおいてHsp47の発現は炎症の程度と相関したまた免疫組織学的検査にてその発現はfibroblastに有意に増強していることが確認された.(2)腸管局所のTGF一βの発現はHsp47と同様に腸管炎症の程度と相関した.(3)NIH/3T3細胞を用いたin vitro studyではTGF一βの添加によりHsp47およびprocolla-genα(1)の発現が増強した.またsi且SP47導入によってproco皿agenα(1)の発現は抑制された.(4)TNF-αとIL-1βによる刺激においてHsp47の発現は増強しIL-10では発現が抑制された.【結語】腸管局所においてHsp47の発現は炎症の程度に相関した.慢性腸管炎症に伴う局所のTGF一βおよび炎症性サイトカインにより且sp47の発現が誘導されることが示唆された.一方IL-10はHsp47の発現を抑制したこのことから腸管粘膜局所でTGF-βやil-10は互いにHsp47の発現制御に重要な役割を果たしていることが証明された慢性腸管炎症に伴う線維化を抑制するためにはIL-10の局所投与が有効な治療方法の1つになると考えられた.
索引用語