| セッション情報 |
パネルディスカッション5.
粘膜再生からみた炎症性腸疾患
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| タイトル |
PD5-05 炎症性腸疾患におけるNotchシグナルを介した上皮再生機構
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| 演者 |
岡本隆一(東京医科歯科大学消化器病態学) |
| 共同演者 |
土屋輝一郎(東京医科歯科大学消化器病態学), 渡辺守(東京医科歯科大学消化器病態学) |
| 抄録 |
【目的】腸管上皮は4種の分化した細胞で構成され局所環境の恒常性維持に貢献している.炎症性腸疾患の病変部においては「杯細胞の減少」及び「バネート細胞化生」という上皮細胞系譜の異常が出現する事が知られているがその分子機構は全く明らかでない.我々は細胞分化制御を司る主たるシグナル系であるNotchに着目し炎症性腸疾患病変部における分化制御異常の分子機序を解明し更に分子制御による「杯細胞の減少」を阻害が新規治療法となり得る可能性を追求した.【方法】ヒト腸管組織及び腸管上皮由来培養細胞株を用いNotchシグナル構成分子の発現解析とシグナル活性化細胞の同定を行なった.またγ一セクレ要田ゼ阻害剤(GSD添加によるシグナル阻害系及び薬剤誘導性活性型Notch恒常発現細胞株を用いた強制発現系を用い腸管上皮細胞における機能解析を行なった.更にデキストラン硫酸(DSS)腸炎マウスに対しGSIを経口投与し同シグナルの阻害が腸炎の病態に与える効果を追求した.【結果】正常ヒト小腸及び大腸では陰窩を構成する上皮細胞に限局してNotchシグナルの活性化を認めた.潰瘍性大腸炎病変部では杯細胞減少部及びバネート細胞特異的遺伝子PLA2G2A発現上皮細胞に一致して同シグナルの活性化を認めた.腸管上皮細胞におけるNotch活性化はMUC2及びPLA2G2A遺伝子の発現を転写レベルで制御し杯細胞形質の抑制とバネート細胞特異的遺伝子の発現誘導を同時に行ない得る分子機能を有していた.DSS腸炎モデルにおける同シグナルの阻害は上皮再生を著しく阻害し致死的な臨床経過を誘導した.【結論】腸管上皮におけるNotchシグナル活性化は腸炎による上皮傷害からの修復過程に必須のイベントでありt杯細胞形質の抑制とバネート細胞特異的遺伝子の発現誘導により炎症性腸疾患病変部の上皮分化と再生を制御しているものと考えられた. |
| 索引用語 |
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