| セッション情報 |
パネルディスカッション5.
粘膜再生からみた炎症性腸疾患
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| タイトル |
PD5-07 炎症性腸疾患における大腸粘膜治癒・再生とガスバイオロジー
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| 演者 |
高木智久(京都府立医科大学免疫内科) |
| 共同演者 |
内藤裕二(京都府立医科大学免疫内科), 吉川敏一(京都府立医科大学免疫内科) |
| 抄録 |
【背景】炎症性腸疾患の大腸粘膜では誘導型一酸化窒素合成酵素(iNOS)由来の一酸化窒素(NO)が傷害因子として作用しておりその一方でストレス応答蛋白であるHeme oxygenase-1(HO-1)由来の一酸化炭素(CO)は傷害抑制因子として作用することを報告してきた.さらに硫化水素(H2S)は組織保護作用を有することも報告してきた.これらNOCOH2Sはガス状メディエーターとして作用する生体内情報伝達物質として近年注目されている.今回我々はCOを基軸としたこれらガス申開ディエーターの相互作用と大腸粘膜治癒に関しての実験的検討を行った.【方法】実験腸炎モデルとしてはマウスDSS/TNBS腸炎ラットTNBS腸炎を用いた. COは飼育ゲージを自作し200ppmで吸入(全身投与)しまた生理食塩水に50%COをバブリングした溶解液を注腸投与(局所投与)しその効果を検討した.さらにiNos阻害剤H2s合成酵素阻害剤H2s誘導剤を投与し各種大腸炎における影響を検討した.またマウス大腸上皮細胞株を用いたwound assayを用いて大腸上皮に対するCOの損傷治癒促進効果を検討しその分子機構に関しても検討を行った.【結果】COの全身投与・注腸投与は有意に腸炎の発症を抑制し治癒を促進したまたPNOS阻害剤は有意に腸炎を抑制し且hS合成酵素阻害剤の投与は;有意に腸炎を増悪させた.H2S誘導剤は腸炎に影響を与えなかった. COはwound assayにおいても損傷治癒促進効果を発揮しその分子機構にはcGMPの制御MAPKのリン酸化促進が関与していた.【考察】H2Sの欠落は大腸炎症増悪を来すがその過剰投与に治療効果は認められ.ない一方でNOは明らかな増悪因子として作用するがこれはCOによって制御される.またCOはH2S合成酵素のメチル化を促進することも報告されておりCOは他のガス状メディエー山川を制御していると考えられた.今回の検討の結果COの大腸炎症搾制作用粘膜損傷治癒促進作用が明らかにされた.今後革新的な新規治療法への応用・発展を視野に入れて検討を重ねていきたい. |
| 索引用語 |
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