| セッション情報 |
パネルディスカッション5.
粘膜再生からみた炎症性腸疾患
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| タイトル |
PD5-09 中鎖脂肪酸の炎症性腸疾患に対する効果
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| 演者 |
石井健一(山梨大学第一外科) |
| 共同演者 |
河野寛(山梨大学第一外科), 藤井秀樹(山梨大学第一外科) |
| 抄録 |
炎症性腸疾患(IBD)の栄養療法では脂肪摂取の制限が重要とされている.一方中鎖脂肪酸(MCT)は上部空腸から経門脈的に吸収され早期に代謝される特徴を持ち経腸栄養剤に応用されている.これまで我々はMCTの抗炎症効果について報告してきた.今回中鎖脂肪酸の消化管粘膜保護効果について検:討した.方法:SD種ラットに固形飼料を自由摂取させた(C群).処置群としてコーン油(CO)またはMCT(5g/kg/day)を経胃的に2週間投与し消化管における効果を検討した.次にデキストラン硫酸ナトリウム(DSS5%)を飲料水に混ぜ1週間投与しIBDモデルを作成した.同様の方法でCOまたはMCTを経胃的に投与し効果を検討した結果:消化管上皮のK:i-67陽性細胞DAO(Diamine oxidase)活性はMCT群でC群ならびにCO群と比較し有意に増加した。IBDモデルにおいてC群CO群では絨毛陰窩の著しい短縮を認めたがMCT群では消化管粘膜の萎縮は軽減された.消化管の杯細胞数はMCT群でC群CO群と比較し有意に増加し粘液産生の充進が認められた.消化管におけるレプチンの発現はMCT群で有意に上昇した. IBDモデルではC群ならびにCO群では杯細胞の減少を認めたがMCT群では変化を認めなかった.考察:DAOは消化管上皮のDNA合成に関与し上皮の分化成熟に重要な働きをし消化管の萎縮で低下することが知られているMCT投与によりDAO活性が上昇し消化管上皮の萎縮が軽減されたと考えられた.消化管局所でのレプチンは消化管杯細胞を増加させる効果が知られている.今回の検討でMCTは消化管レプチンの発現を増加させ杯細胞数が増加したと考えられた.結語:MCTは抗炎症効果消化管粘膜保護効果を有しIBDの治療に有用であると考えられた. |
| 索引用語 |
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