セッション情報 |
パネルディスカッション6.
小腸疾患の病態解明:基礎と臨床の接点
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タイトル |
PD6-03 小腸虚血再灌流傷害におけるMyD88の役割
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演者 |
渡辺俊雄(大阪市立大学大学院医学研究科消化器器官制御内科学) |
共同演者 |
谷川徹也(大阪市立大学大学院医学研究科消化器器官制御内科学), 荒川哲男(大阪市立大学大学院医学研究科消化器器官制御内科学) |
抄録 |
【背景】ショック重度熱傷小腸移植などにより惹起される小腸虚血再溢流傷害は小腸局所の組織傷害に加えて二次式に肺肝腎などの遠隔臓器傷害や敗血症などが引き起こされる重篤な傷害である.Toll-like receptors(TLRs)は細菌の機体成分や傷害組織から遊離される分子を認識しそのシグナルを共通のアダプター分子であるMyD88を介して伝達するが近年心臓肝臓腎臓などの虚血再灌流傷害においてTLRsの関与が報告されている.【目的】小腸虚血再灌流傷害におけるTLRsの役割をMyD88ノックアウトマウスを用いて検討した.【方法】野生型MyD89COX-2ノックアウトマウスを用いた.虚血物証流傷害は45分間上腸間膜動脈をクランプし60分間再調流することによって惹起した.傷害の程度は組織学的検討抗single-stranded DNA抗体による免疫組織化学的検討(アポトーシスの評価)および小腸内漏出ヘモグロビン量測定により評価するとともに小腸組織における各種mRNA発現量MPO活性prostaglandin(PG)E2量などを測定した.【結果】1)小腸虚血再島流傷害は野生型に比較してMyD88ノックアウトマウスで著明に増悪した.2)虚血再軸流はTNF心仏IL-1βKCなどの炎症性サイトカイン発現COX-2発現およびPGE2量を増加させたがMyD88ノックアウトマウスでは増加の程度は軽微であった.3)MPO活性は野生型MyD88ノックアウトマウスともに同程度の増加を認めた4)COX-2ノックアウトマウスも野生型マウスに比較して虚血再灌流傷害は有意に悪化した.5)外因性PGE2の投与によりMyD88およびCOX-2ノックアウトマウスにおける傷害は抑制された.6)免疫組織化学染色ではCOX-2は小腸上皮細胞および間質の炎症細胞に発現が認められ多くはMyD88を共発現していた.【結論1小腸虚血再灌流傷害においてはMyD88を介するシグナルがCOX-2の発現を誘導し産生されたPGが傷害に対して抑制的に作用している可能性が示唆された. |
索引用語 |
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