セッション情報 パネルディスカッション6.

小腸疾患の病態解明:基礎と臨床の接点

タイトル

PD6-04 造影超音波による小腸微細循環の評価

演者 畠二郎(川崎医科大学検査診断学)
共同演者 眞部紀明(川崎医科大学検査診断学), 春間賢(川崎医科大学食道胃腸内科)
抄録 【背景・目的1小腸の内視鏡的診断は飛躍的進歩を遂げたものの形態変化の背景に存在する重要な因子としての血流を生理的に評価する手法は皆無に等しい.そこで造影超音波を用いた小腸微細循環の評価法を臨床応用しその有用性を検討する.【対象・方法】対象は腸閉塞12例クローン病6例など各種小腸疾患49例(男性30例平均年齢623歳).超音波造影剤ソナゾイド(第一三共製薬)O.015ml/Kgをワンショット静注しmechanical index O.2-O.5のharmonic imagingにより約2分間観察した.使用機種は東芝ssA-770A(Aplio)プローブは7MHzリニアまたは3.75MHzコンペクスである.特に雨処置は施行せず仰臥位で体表から観察した.検査はすべて同一の検者が施行した.保険適応外の使用に関しては院内の倫理委員会の承認およびすべての患者からのinformed consentを得ている.【結果】全例で小腸の粘膜面に至る微細循環がリアルタイムに描出された。造影剤使用に伴う副作用は経験しなかった.絞掘性腸閉塞に代表される腸管虚血の評価には非常に有用であり正確な診断が可能であった.炎症性疾患においては病変の藍綬度によりその活動性や線維化の程度を推測できる可能性が示唆されたがその定量化を含めた評価基準に関しては今後の継続検討を要する活動性の小腸出血においては管腔内への造影剤の漏出や出血点の同定が可能な症例も存在した.問題点としては被検者の体格により画像が左右されることや本研究では検討していないが検者の技量に依存性がある可能性など一般的な超音波検査の短所が推測された.【結論】造影超音波により小腸の微細循環を非侵襲的生理的な状況でリアルタイムに評価することが可能であり各種疾患における病態の把握に非常に有用であると考えられる.
索引用語