セッション情報 |
パネルディスカッション6.
小腸疾患の病態解明:基礎と臨床の接点
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タイトル |
PD6-07 ダブルバルーン内視鏡を用いた小腸細菌叢の解析
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演者 |
太田英孝(自治医科大学内科学消化器内科) |
共同演者 |
林俊治(自治医科大学感染免疫学細菌学), 山本博徳(自治医科大学内科学消化器内科) |
抄録 |
【目的】消化管内の細菌叢と病変の間には密接な関連があると考えられている.口腔・胃・大腸における細菌叢は既に詳細な研究が行われているが従来小腸からの検体採取が困難であったため小腸内の細菌叢はほとんど研究されてこなかった.今回ダブルバルーン内視鏡を用い小腸各部位より粘液を採取しその中に含まれる細菌の解析を行った.本研究での小腸細菌叢データは小腸の病変と細菌との関連を調べるための有用な基礎データになり得る.【方法】小腸内視鏡検査を施行した被験者の小腸各部位の正常粘膜より粘液を採取した.細菌叢解析は古典的培養法を用いて行った.粘液を15種類の培地に接種し嫌気・好気・微好気の3条件下で培養を行った.その結果培地上に生長してきた細菌コロニーを観察し粘液中に存在する細菌の種類および量を解析した.本研究は自治医大の倫理委員会の承認および被験者からの同意を得ている.【結果】上部空腸より検出される細菌の種類・量は非常に少なかった.腸液lm1につき10~1000個程度の生菌数であり検出菌種の多くは通性嫌気性菌であった.しかし生菌数は回腸において約10万倍にまで急激に増加した.特に偏性嫌気性菌の増加率が著しく回腸末端における細菌数は偏性嫌気性菌が通性嫌気性菌を上回っていた.H. pyloriが空腸より検出された例やC諺塀σ漉が回腸から検出された例も存在したさらに胃の無酸症によって胃から空腸にかけての細菌数が過剰増殖していた例や狭窄によって小腸細菌叢が大きく変化していた症例も存在した【結論】空腸の細菌叢を構成する細菌の種類・量は非常に少ない.しかし回腸において細菌(特に偏性嫌気性菌)の量が急激に増加し糞便を構成する細菌叢が形成されることが判明した.また胃の無酸状態や腸管の狭窄が小腸の細菌叢に大きな変化をもたらすことが判明した. |
索引用語 |
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