セッション情報 パネルディスカッション6.

小腸疾患の病態解明:基礎と臨床の接点

タイトル

PD6-09 13C-trioctanoin呼気試験による胃切除後小腸機能障害の病態診断

演者 中田浩二(東京慈恵会医科大学外科学消化器外科)
共同演者 羽生信義(東京慈恵会医科大学外科学消化器外科), 柏木秀幸(東京慈恵会医科大学外科学消化器外科)
抄録 「消化と吸収」は生命維持に不可欠なエネルギーを体内にとり込むために必要な消化管の最も重要な働きの一つである.この働きはしばしば消化器疾患や消化器外科手術による小腸機能・消化能障害のために低下し臨床上の問題となる.胃切除後には胃排出充進による小腸負荷の増大外来神経切除・再建法による小腸運動機能障害や消化液分泌低下小腸内細菌増殖が起こることが知られておりしばしば臨床的にも体重減少下痢栄養障害の発生がみられる.胃切除後の消化吸収能を調べることはかかる患者の病態を明らかにし治療法を選択する上で重要であるが簡便で確立された検査法がないため臨床の場で行われることは少なかった.近年簡便で非侵襲的な13C呼気ガス診断を応用した消化管機能検査が行われるようになり注目されている.【目的】胃切除後患者にi3C-trioctanoin呼気試験(13C-TOBT)を行い消化吸収能評価を試みた.【方法】健常人(HV)10名幽門側胃切除Roux-en-Y再建(DG)患者5名胃全摘Roux-en-Y再建(TG)患者8名に試験食(液状食ラコール〔200kcal/200ml〕生クリーム35ml13C-TO 100mg;脂肪負荷約20g)を投与し摂取後4時間まで呼気を採取した.呼気中13CO2存在比を測定し評価指標としてCmax補正値を用い各群の消化吸収能を比較検討した.【成績lHV:DG:TGのCmax補正値はそれぞれ21.3=15.6:14.4MでありTGではHVと比べ有意な消化吸収能の低下が認められた(p〈0.05).【結論】TGでみられた消化吸収能の低下は胃切除後にみられる栄養障害の一因と考えられた.13C-TOBTを用いて消化吸収能を簡便に評価することが可能であり消化器外科術後や小腸疾患による栄養障害の病態を解明する上で有用である.
索引用語