セッション情報 パネルディスカッション6.

小腸疾患の病態解明:基礎と臨床の接点

タイトル

PD6-10 ラット消化管寄生線虫Nippostrongylus brasiliensis(Nb)感染における小腸粘液変化;sialo-mucinsulfo-mucin転移酵素について

演者 曽我幸一(京都府立医科大学大学院・消化器内科学)
共同演者 光藤章二(京都府立医科大学大学院・消化器内科学), 有薗直樹(京都府立医科大学大学院・寄生病態学)
抄録 【背景目的】Nbの免疫学的排除では小腸上皮での杯細胞過形成・杯細胞由来粘液(mucin)の増加が認められるが詳細は未だ明らかではない.今回感染に伴うmu・cinの性状変化特にシアル酸化・硫酸化を検討するためにPAS染色sialo-mucinを同定するAB染色sulfo-mucinを同定するHID-AB染色転移酵素の経時的変化を検討するRT-PCRを行った.【方法】1. Nb2000匹を感染させたBNラットを7101428日目に剖検し再感染群として感染28日目に再感染を行い37日目に剖検した.2別群としてT細胞欠損rnu/rnurnu/+ラットにNb1000匹を感染し71021日目に剖検した.すべての群で剖検後空腸組織を採取した.【結果】BNラットでのPAS染色・AB染色・HID染色はHH)染色で一旦初感染7日目に陽性細胞が低下したが初感染10-14日目および再感染7日目で杯細胞mucinsialo-mucinsUlfo-mu-cinの増加を認めた.またT細胞欠損rnu/rnuラットで行ったPAS染色・AB染色・HID染色では感染後Nbが排除されず継続的に杯細胞過形成を示したがAB・mD陽性細胞は経過中増加しなかった.RT-PCRではBNラットでsiat4c・3ST1が初感染7-10日目再感染3日目で最大値を示した.またrnu/rnurnu/+ラットの比較においてrnu/+ラットはsiat4c・3ST1でBNラットと同じ変動を示した.一方rnu/muラットはsiat4c・3ST1が非感染時より増加したがピーク値を示さなかった. rnu/muとrnu/+ラットの比較ではsiat4c3ST1が感染7-10日目に有意差を認めた.【結論】Nb感染に伴いmucinの増加とともにsialo-muci1・sulfo-mucinも増加していた.またRT-PCRではsiat4c3ST1のmRNA発現量が組織化学染色と.一一致した変動を示しmucinのシアル酸化・硫酸化に重要な役割を果たしていると考えられた.加えてこれらの変化は虫体排除期と一致しT細胞依存性であることが示唆された.
索引用語