セッション情報 パネルディスカッション6.

小腸疾患の病態解明:基礎と臨床の接点

タイトル

PD6-11 腸炎後過敏性腸症候群モデルにおける小腸運動能異常とその免疫学的機序

演者 秋穂裕唯(九州大学大学院医学研究院病態制御内科学)
共同演者 村尾寛之(九州大学大学院医学研究院病態制御内科学), 中村和彦(九州大学大学院医学研究院病態制御内科学)
抄録 【目的】過敏性腸症候群(IBS)の原因として最近腸管局所の免疫系の異常が原因となる事が明らかとなった.また急性胃腸炎の後にBSが起こることがわかってきており(Spiller RC. Gastroenterology2003)炎症後過敏性腸症候群(PI-IBS)という新しい疾患概念が確立されつつある.我々は抗CD3抗体投与腸炎モデルを用いて炎症の鎮静化後に持続した運動能異常を起こすmediatorの関与を比較検討した.【方法】マウスに12.5pg抗CD3モノクローナル抗体を腹腔内投与し小腸炎を作製.抗体投与前投与直後3日後および肉眼的炎症の治まる1週後2週後に空腸を摘出.腸管におけるcytokinechemokineムスカリニッタ受容体弔事トニン(5-HT)受容体神経伝達物質のmRNA発現またカルバコール(CCh)5-HT刺激に対する単離小腸縦走平滑筋細胞収縮能CCh5-HTKCIサブスタンスP刺激に対する小腸平滑筋条片収縮能について検討した.【成績】抗体投与腸炎モデルでは炎症治癒を確認した1週後においてCCh5-HTに対し平滑筋細胞の過収縮を認めた.平滑筋条片でも炎症治癒期においてCCh5-HTKCIに対し過収縮を認めた.抗体投与により腸管局所におけるムスカリニッタ受容体5-HT受容体のmRNA発現は影響を受けなかったが炎症治癒期においてIL-13MIP2は持続上昇しIFNyTNFαNOSSERTは減少していく傾向を示した.【結論1このPI-IBSモデルにおいて.炎症治癒期に認める空腸の過収縮は平滑筋細胞レベルで起こりこの過収縮はIL-135-HTMIP2などのmediatorが関与していることが考えられた.
索引用語