セッション情報 パネルディスカッション6.

小腸疾患の病態解明:基礎と臨床の接点

タイトル

PD6-12 小腸ICC及び平滑筋の発生生物学的研究

演者 倉橋正明(名古屋大学消化器内科)
共同演者 丹羽康正(名古屋大学消化器内科), 後藤秀実(名古屋大学消化器内科)
抄録 【背景】小腸にとって蠕動運動は最も重要な機能でありその障害が様々な病態を生じ得る.蠕動を司る細胞は平滑筋細胞腸管ペースメーカー細胞(Interstitial cells of Cajal:ICC)腸管神経節細胞の3つでありこれらのどれの異常によっても蠕動は障害を受ける.我々はこの中で特にICC及び平滑筋に着目しその発生メカニズムの解明に取り組んでいるICCおよび外縦筋は共通の前駆細胞から発生するがそのメカニズムの詳細はまだ解明されていない.現在この前駆細胞が。-Kitを発現していることが知られており最近我々はPDGF re-ceptorを発現する事を報告した.またこの前駆細胞が生後の腸管にも存在する可能性が示唆されている.【目的】共通前駆細胞からICC及び外縦筋が発生するメカニズムを解明すること.【方法】我々の考案した胎児腸管のorgan-cultUre systemを用いて以下の実験を行った.1.マウス胎児前駆細胞に対するPDGF receptor阻害剤の効果の解析.2.c-KitのmutantマウスであるW mutantマウスの胎児腸管前駆細胞の解析.3.マウス胎児前駆細胞に対するチロシンキナーゼ阻害剤STI571の効果の解析.【結果】1. PDGF receptorを阻害すると前駆細胞は全て未分化なICCへと分化した.2. genotype+/+W/Wの間で前駆細胞の分化に違いがなかった.3.・STI571は前駆細胞を全て平滑筋へと誘導した.【結論】前駆細胞をICC平滑筋のどちらにも誘導できる可能性が示唆された.今後ICC平滑筋の欠落機能異常により引き起こされる病態の原因解明治療法開発や再生医療に役立つ可能性がある.
索引用語