セッション情報 |
パネルディスカッション6.
小腸疾患の病態解明:基礎と臨床の接点
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タイトル |
PD6-14 炎症性腸疾患におけるIgG糖鎖構造の変化-血清マーカーとしての可能性
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演者 |
新崎信一郎(大阪大学消化器内科学) |
共同演者 |
飯島英樹(大阪大学消化器内科学), 林紀夫(大阪大学消化器内科学) |
抄録 |
【目的】関節リウマチではIgGの糖鎖においてガラクトースが高率に欠損していることが報告されているが炎症性腸疾患(IBD)患者での報告は少ない.我々はIBDにおけるIgG糖鎖を解析し病態との関連を明らかにするとともに糖鎖異常の出現機序について基礎的検討を行った.【方法】クローン病(CD)60例潰瘍性大腸炎(UC)58例健常者(HV)27例およびIBD以外の腸炎患者(DC)15例の血清IgG糖鎖をHPLCで解析しフコシル化糖鎖のガラクトース欠損民田と付着糖鎖の比(GOF/G2F)を定量したGOF/G2F比が1.4以上をGOF/G2F陽性とした.さらにGOF/G2FとASCAの検査精度をReceiveroperated characteristic(ROC)曲線からArea Under the ROC Curve(AUC)を算出して比較した.また末梢血B細胞や形質細胞を分離しbeta-14-galactosyltransferase(B4GalT)のmRNAレベルや酵素活性を検討した.【成績】GOF/G2F陽性率はCDで72%UCで33%とHVやDCの0%に比べ有意に高率であった(p<0。01). GOF/G2Fは活動指数高値群や広罹病範囲群で対照群より有意に高値を示した.GOF/G2F陽性群におけるUCの1年観察時の非再燃率は11%であり陰性群(77%)より有意に低値であった(p<O.Ol).またCDとHVCDとUCの鑑別においてGOF/G2FのAUCはASCAに比して高値であった.抗体産生細胞におけるB4GalTのmRNAや酵素活性はHVに比しUCでは有意に高値を示した(p〈005)がCDでは高値を示さなかった.【結論】GOF/G2FはIBDの鑑別に有用でありUCにおいて予後予測マーカーになることが示唆された.’また糖転移酵素の発現にも差を認め疾患の病態と何らかの関わりがあることが考えられた. |
索引用語 |
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