セッション情報 パネルディスカッション6.

小腸疾患の病態解明:基礎と臨床の接点

タイトル

PD6-16 小腸内視鏡下生検検体を用いたCrohn病患者におけるserotonin transporter(SERT)の発現についての検討

演者 加藤真吾(埼玉医大総合医療センター消化器肝臓内科)
共同演者 屋嘉比康治(埼玉医大総合医療センター消化器肝臓内科)
抄録 【目的】Crohn病患者は下痢・腹痛などの症状を呈する.その機序として腸管炎症による吸収障害のみならず腸管蠕動運動の充進も関与する今回われわれはCrohn病患者の小腸におけるserotoninおよびsero・tonin transporter(SERT)の関与について検討した.【方法】インフォームド・コンセントの得られたCrohn病患者群15例およびコントロール群8例よりダブルバルーン小腸内視鏡下に回腸より生検検:体を採取した.炎症部および非炎症部よりそれぞれ3検体ずつ部位を変えて採取しRNAを抽出し1.5pgのRNAをcDNAに変換したのちreaトtimePCR法にてTNFαおよびSERTの発現を検討したまたコントロールおよびクローン病患者の回腸手術標本を用いて抗serotoninSERT抗体の免疫染色を施行した.次に6wellプレートを用いCACO2 cell lineに対しTNFαを50ng/mlの濃度で刺激し48時間後にRNAを抽出してSERTのmRNAの発現を検討した.同時にin」EliXimab(110 pg/ml)の作用についても検討した.【成績】serotoninの発現は上皮細胞間に存在するEC細胞に認められた.同様にSERTの発現は上皮細胞および筋播神経叢および神経細胞に認められた.次に生検検体を用いた検討ではSERTの発現は正常コントロール群に対し炎症部のみならず内視鏡的拝聴胴部においても有意に発現の低下を認めた(1.1±O.420.31±O.440.52±O.58p<0.05).また炎症部ではTNFαmRNAの発現が高かった.CACO2細胞はTNFα投与にてSERT mRNAの発現低下を認めin-fliXimabは濃度依存的にSERT mRNAの発現を改善した.【結論】Crohn病患者ではSERTの発現の低下がありinfliximabの臨床症状改善効果のひとつにSERTの発現の改善が関与することが示唆された.
索引用語