セッション情報 パネルディスカッション8.

肝癌再発進展阻止を目指して

タイトル

PD8-04 初回ラジオ波焼灼術(RFA)根治症例における分岐鎖アミノ酸製剤(BCAA)長期投与の臨床的意義~肝癌再発抑制と累積生存率の向上~

演者 土谷薫(武蔵野赤十字病院消化器科)
共同演者 朝比奈靖浩(武蔵野赤十字病院消化器科), 泉並木(武蔵野赤十字病院消化器科)
抄録 【目的】近年BCAAのインスリン抵抗性改善作用によりインスリン依存性の発癌・増殖を抑制する可能性が報告され臨床的にもBCAA長期投与はBMI25kg/m2以上またはAFP20ng/mL以上の非代償性肝硬変患者の発癌を抑制することが示された.今回我々は初回RFA根治例に対するBCAA長期投与の臨床的意義について検討した.【方法】当院にて1999年4月から2005年9月まで初回治療でRFAを施行し局所根治を確認後2年以上経過観察した264例を対象とした治療前血清Alb値で層別化しBCAA内服群(治療後2年以上内服)と非内服群の累積生存率および3回目再発までの累積他部位再発率を1(aplan-Meier法で長期生存に関連する因子をCox比例ハザードモデルを用いて検討した.【結果】初回治療前血清Alb値3.5g/dl以下ではBCAA内服群32例・非内服群65例であった内服群は非内服群に比し腫瘍因子に有意差はなく有意にAlb値とPT時間が減少しT-Bilが上昇していた.治療前肝予備能が低下していたにも関わらずAlb35g/dl以下では内服群は非内服群と比べ有意に累積生存率が良好であった(p=O.0327).初回・2回目再発に差を認めず3回目再発において内服群は非内服群に比し再発率が減少した(p=O.037).経時的なAlb値は内服群・非内服群で有意差を認めなかった初回治療前Alb35g/d1超例では内服群(n=14)・非内服群(n=153)を比較すると治療前背景で内服群は有意にAlbおよびPT時間が減少しており累積生存率と累積他部位再発率に有意差を認めなかった.長期生存に寄与する因子として治療前Alb359t’dl以下例ではBCAA長期内服(+)が有意な独立因子として抽出された(Odds比2.7895%Cl lO4-742p=0.041).治療前Alb3.5g/dl超例ではAFP20ng/mL未満が唯一長期予後に寄与する有意な因子であった.【結語肝癌初回RFA根治例において治療前Alb値3.5g/dl以下の症例ではBCAA長期投与により明らかに累積生存率が向上し3回目以降の他部位再発抑制効果が示唆される.
索引用語