セッション情報 パネルディスカッション8.

肝癌再発進展阻止を目指して

タイトル

PD8-07 肝癌再発進展阻止を目指して:術後再発高危険群に対する経皮的肝灌流併用による外科集学的治療

演者 富永正寛(神戸大学肝胆膵外科)
共同演者 岩崎武(神戸大学肝胆膵外科), 具英成(神戸大学肝胆膵外科)
抄録 目的:肝細胞癌(HCC)は低切除率(30%)高再発率(術後2年以内60%)を特徴とし予後不良である.この現状を打破すべく私達は経皮的肝士流(PIHP)を導入し従来切除不能例でも肝機能に応じてPIHP或は減量切除+PIHPにより飛躍的な予後改善を認めた.今回は再発危険因子を伴うHCC治癒切除例における予防的PIHPの有効性及びVp34の治療戦略につき検討した.方法:1)HCC切除例(治癒度B以上の区域切除以下)のうちfc-infim最大腫瘍径>5cmvp/wtwのうち少なくとも1因子以上陽性例を再発高危険群(n=40)とし術後のPIHP併用による再発防止効果につきRCTを行った(2)従来両葉多発のため切除不能とされたVp34症例を対象とし当診療科で取り組んでいる2段階治療(腫瘍栓を含む主腫瘍を減量切除し遺残腫瘍にPIHPを追加)の成績と文献的に治癒切除と報告されたVp34症例の成績を比較検討した.成績:1)脱落5例を除きPIHP群(17)と対照群(18)で比較した両群の背景因子(宿主因子腫瘍因子)に差はなく生存率(15年)はPIHP群(100M%)対照群(9455%)と有意差はなかった.残肝再発はPIHP群で10例(59%)に対し対照群は15例(83%)再発形式はPIHP群で単発再発6例(60%)に対し対照群で10例(67%)が多発再発で再発率及び再発個数ともPmP群で抑制傾向を認めた無再発生存率(15年)はPIHP群(8899%)に対し対照群(6117%)とPIHP群で有意に良好であった(P=0.03).50%無再発期間は対照群15ヶ月に対しPIHP群38ヶ月と約2年の無再発期間延長を認めた.2)2段階治療におけるVp34両葉多発例では生存率は1年635年22%であり文献的考察でのVp34治癒切除例(1生54-825生8-42%)及び日本肝癌研究会のVp34切除全国集計(1生505生18%)と同等或はそれを上回る成績であった.結語:再発高危険群ではHCC切除後PI且Pの追加により有意に再発が抑制され予後向上に寄与すると推察された特にVp34切除では肉眼的遺残腫瘍の有無にかかわらず減量切除と位置づけ術後PIHP等強力な補助療法の追加が予後改善に繋がり集学的治療の必要性が示唆された.
索引用語