セッション情報 パネルディスカッション8.

肝癌再発進展阻止を目指して

タイトル

PD8-10 肝癌再発抑制を目的とした樹状細胞による免疫療法の開発

演者 水腰英四郎(金沢大学医学部附属病院消化器内科)
共同演者 中本安成(金沢大学医学部附属病院消化器内科), 金子周一(金沢大学医学部附属病院消化器内科)
抄録 【目的】これまでに我々は肝癌に対する新しい治療方法として肝動脈塞栓療法(TAE)時に樹状細胞を投与する免疫療法(DC療法)の開発を行いその安全性と有効性を確認してきたしかしながらDC療法が肝癌の再発抑制に寄与するかどうかは検討されていない.本研究ではDC療法の肝癌特異的免疫反応の誘導能と肝癌局所治療後再発に与える影響について検討した.【方法1免疫学的解析が可能であった13例のDC療法施行患者を対象とした.治療前後における免疫反応はこれまでに我々が同定したAFP由来ペプチドと蛋白を用いてELISPOTアッセイにて解析した.抗原のコントロールにはCMV蛋白由来ペプチドと破傷風毒素(TT)由来蛋白を使用した.また対照としてTAEを施行した患者(TAE単独群)20名において同様の解析を行った.【成績】治療後のAFPに対する免疫反応の増強はTAE単独群では20例中5例(25%)にDC療法群では13例中9例(69%)に認められ後者において統計学的に有意に高率であった.一方CMV蛋白由来ペプチドとTT由来蛋白に対する免疫反応の増強は晶群間において差を認めなかった追加治療としてラジオ波焼灼療法を行い局所制御が可能であった症例について免疫反応と治療後再発との関連について検:組したところ統計学的有意差はないもののDC療法群ではTAE単独群に比べて治療後6か月の時点での再発率は低かった.しかしながら治療後免疫反応の増強が観察された症例においても肝癌の再発が認められた.免疫反応の経時的解析では治療後2-4週の時点において観察された免疫反応の増強は治療後3カ月の時点において多くの症例で減弱していた.【結論】DC療法はTAE単独に比べ肝癌特異的免疫反応の効率的な誘導が可能であり治療後再発の抑制に寄与している可能性が示唆された。しかしながら完全に再発を抑制することはできず誘導された免疫反応の増強が一過性であることが原因の1つであると考えられた.
索引用語