セッション情報 ワークショップ1.

進行消化器癌の集学的治療(肝癌を除く)

タイトル

W1-03 腹膜播種陽性胃癌症例に対する集学的治療

演者 今野元博(近畿大学外科)
共同演者 安田卓司(近畿大学外科), 塩崎均(近畿大学外科)
抄録 【目的】肉眼的に腹膜播種を確認した胃癌症例に対する現在の我々の治療方針はPaclitaxel単回腹腔内投与と逐次複数回S-1+Weekly Pacli-taxel全身投与療法の併用療法である.また現在では化学療法奏効例には更なる成績の向上を期待して胃切除を施行している.この治療法の現在までの成績を報告する.【対象と方法】対象は肉眼的に腹膜播種を確認した胃癌症例である.レジメンは腹膜播種確認時にPaclitaxel 80mg/m2を生理食塩水1000mlに溶解し腹腔内に投与する.その後全身化学療法としてOGSGO105レジメンに則りPaclitaxe150mg/m2 i.v.Day 18S-1800mg/m2 p.o. Day 1-14を3週毎に繰り返した.この全身化学療法を3~6コース施行した後に奏効症例には2度目の診断的腹腔鏡を行った.【結果】2007年6月までに本治療法を46例に施行した.有害事象は比較的軽微であり重篤な副作用は認めなかった.46例の中で化学療法後に2度目の診断的腹腔鏡を行った症例は18例であった.18例中15例には腹膜播種の消失が認められD2(一No.10)リンパ節郭清を伴う胃切除術を施行した.術後の経過は良好であった.46症例の生存期間の中央値は475日1年生存率は65.2%2年生存率は34.5%3年生存率は17.8%であった.また胃切除を施行した15例と2度目の診断的腹腔鏡を行わなかった28例の全生存期間の中央値は877/470日1年生存率は69.3/62.6%2年生存率は69.3/30.4%であった.【結論】本治療法は腹膜播種陽性胃癌症例に対して有用である可能性が示唆された.また治療後には腹膜播種の消失が生じ胃切除の施行が可能になる症例も認められた.従って本治療法施行後にCT等で治療効果が期待できる症例には積極的に再度診断的腹腔鏡を行い腹膜播種の消失を確認する必用があると考えられた.
索引用語