セッション情報 ワークショップ1.

進行消化器癌の集学的治療(肝癌を除く)

タイトル

W1-04 大腸癌肝転移に対する積極的切除と抗癌剤併用による集学的治療

演者 吉留博之(千葉大学臓器制御外科学)
共同演者 木村文夫(千葉大学臓器制御外科学), 宮崎勝(千葉大学臓器制御外科学)
抄録 【目的】大腸癌肝転移に対する肝切除の有効性は議論の余地がないがその治療戦略として特に同時性多発例の予後の向上と肝切除適応症例数の増加が重要である.【方法】2006年までの大腸癌肝転移初回八切除295例を対象に検討した【結果と考察】初回肝切除後5年生存率は41%であり多変量解析にて原発巣リンパ節転移の有無・肝転移腫瘍径・腫瘍の被膜形成無しが有意な予後規定因子であったが腫瘍個数は独立した予後規定因子ではなかった.肝切除適応は肝予備能の結果とvolumetryにて残肝率35%以上となる症例とし35%未満の症例では門脈塞栓術の施行を考慮する.同時性症例の累積生存の検討では単発例5生47%MST 51月で多発例5生23%MST 24月であり肝局所の無再発期間には差がないがDFSではp=O.029と有意差を認めた.再発形式では肝並びに肝脳再発とも単発例に比し多く認めた.以上から治療戦略として1)どのようにして肝切除適応を拡大するか2)同時性多発例でどのように再発を制御するかが重要である.1)では手術手技として腫瘍の局在によって肝実質温存目的に肝静脈再建の施行や下大静脈合併切除があり各々6例22例に施行した.肝外病変併存においても切除可能例には肺切除を積極的に施行し5生20%であった肝切除不能例に対してIRIS(CPT-11+S-1)によるdownstagingを施行し現在まで18例中8例で肝切除・肺切除が施行可能となった化学療法に起因する脂肪肝が認められたが術後合併症や肝機能に重篤なものは認めなかった肝単独の再発は積極的に薄霞切除の適応とし5生40%であった.2)では新規抗癌剤による術後補助療法を施行し全身化学療法施行の同時性例において予後の改善傾向を認めた.【結語】大腸癌肝転移例では肝予備能評価と残肝容積から治療プランを詳細に決定し新規抗癌剤を併用した集学的治療を行うことで予後の向上並びにdownstagingによる切除症例数の増加が期待できると考えられた.
索引用語