セッション情報 ワークショップ1.

進行消化器癌の集学的治療(肝癌を除く)

タイトル

W1-08 切除不能局所進行膵癌に対する免疫細胞療法(第2相試験)

演者 野々垣浩二(名古屋大学消化器内科学)
共同演者 廣岡芳樹(名古屋大学光学医療診療部), 後藤秀実(名古屋大学消化器内科学)
抄録 【目的】近年最も強力な抗原提示細胞である樹状細胞が注目され各種進行癌に対して臨床試験が実施されている.当科では切除不能局所進行膵癌を対象に一次治療として未熟樹状細胞を利用した化学療法併用免疫細胞療法を計画し現在第2相臨床試験が進行中である.今回その安全性と有効性につき検討した.【方法】第1相試験二対象は切除不能局所進行膵癌5例.免疫細胞療法はアフェレーシスを施行しリンパ球および単球を患者末梢血より採取した.OK432で刺激した未熟樹状細胞(imDC)を超音波内視鏡下に膵癌病巣内に直接注入しさらに末梢から活性化自己リンパ球を投与したt上記治療3日前にゲムシタビン1000mg/m2を投与しこれを2週毎に施行した第2相試験:目標症例を10例としより有効性を高めるためOK432と比較し腫瘍特異的T細胞の誘導能およびγδT細胞を増加させる所見が確認されているゾレドロン酸を添加したimDCを使用することとした.【成績】第1相試験:治療に伴う重篤な有害事象は認めなかった.抗腫瘍効果は6ヶ月以上のSD(long SD)症例を2例PRを1例認めた.無増悪生存期間は74~554日全生存期間は278日~658日であったPRが得られた1例で腫瘍の縮小により切除可能となり膵体尾部切除術により切除断端陰性(RO)の根治手術が可能であった.切除組織を用いた免疫学的検討により腫瘍抗原特異的に反応するIFNY産生細胞が顕著に増加したことを確認できた.第2相試験は現在進行中である.【結論】本治療の安全性と有効性が確認された.第2相試験では主に有効性を確認する予定である.進行消化器癌における免疫細胞療法は従来はthird line以降の治療方法との認識であったが本第1相試験で腫瘍特異的免疫反応の明らかな上昇を認めるなど科学的evidenceが得られつつあり集学的治療の一環として考えるべきである.
索引用語