セッション情報 ワークショップ1.

進行消化器癌の集学的治療(肝癌を除く)

タイトル

W1-11 局所進行膵癌に対する化学放射線療法の意義

演者 伯耆徳之(愛知県がんセンター中央病院消化器内科部)
共同演者 澤木明(愛知県がんセンター中央病院消化器内科部), 山雄健次(愛知県がんセンター中央病院消化器内科部)
抄録 【目的】我々は局所進行膵癌に対して化学放射線療法(CRT)を第一選択として治療を行ってきた.Chauffertらの報告以降塩酸ゲムシタビン(GEM)による全身化学療法(CT)も一定の評価を得ており局所進行膵癌に対するGEMによる化学療法が標準治療のひとつとして受け入れられようとしている.今回局所進行膵癌に対する化学放射線療法の意義について検討した.【方法12001年4月から2006年12月までに当院で経験した組織学的確証の得られた局所進行膵癌77例のうちCRT施行47例とGEMによる全身化学療法施行30例を対象としたCRTは5-FUまたはGEMを増感剤として用い放射線療法は一回2Gyで総線量を50Gyとした. CTはGEMIOOOmg/m2/weekを3投1休で投与した検討項目は治療内容背景因子(年齢性別PS占拠部位腫瘍径CA19-9CEA)抗腫瘍効果増悪形式生存期間とした.【結果】治療内容はCRT群では増感剤として5FUを28例GEMを19例に後治療を行った40例は全例でGEMを使用したCRT群とCT群で1ヶ月以内の有害事象に伴う治療中止はそれぞれ7例(15%)5例(17%)で両群に有意差は認めなかった(NS).背景因子ではCRT群で年齢が低く女性とPS Oを有意に多く認めた. CRT群とCT群でそれぞれ奏効例は6例(13%)と0例(0%)(P<0.05)増悪形式としては遠隔転移をそれぞれ11例(23%)と8例(27%)に認めた(NS).遠隔転移にて増悪した群(18例)と局所病変のみ増悪群(15例)では患者背景や血液検査所見に有意な差は認めなかった全体のOSはmedian 12ヶ月1年生存率52%CRT群とCT群ではそれぞれmedian l3ヶ月と11ヶ月1年生存率及び2年生存率は55%46%と20%0%で(NS)CRT群でのみ7例に認めた.【結論】局所進行膵癌に対するCRT群には2年以上の長期生存例を認めておりCRTは一部の局所進行膵癌に有用な治療法である.しかし今後はCRTの治療効果が期待できる患者をどのように選別できるかが課題であると思われる.
索引用語