セッション情報 ワークショップ2.

消化器疾患治療におけるクリティカルパス

タイトル

W2-04 患者状態適応型パスシステム(PCAPS)を用いた急性胆管炎治療パスのプロトタイプ作成と多施設検証

演者 蒲生真紀夫(みやぎ県南中核病院消化器科・腫瘍内科)
共同演者 乾吉明(兵庫県立西宮病院内科)
抄録 【目的】急性胆管炎の標準治療は内視鏡治療を中心に確立しているが発症契機や重症度合併症などが多彩であり定型的診療計画提示はしばしば困難である.患者状態適応型パスシステム(PCAPS)は細分化された作業工程(ユニット)を移行しつつ標準的な医療プロセスを支援するツールであり多彩な患者状態の変化に対応可能である.我々はPCAPSによる急性胆管炎治療パスの作成を試み多施設検証を行った.【方法】診療ガイドラインに基づき重症度による治療手技選択とその成否治療後合併症などに対応する医療介入を標準化したユニットとユニット移行の経路選択を構造化した臨床プロセスチャート(CPC)を作成した.作成したCPCは研究協力施設7施設の計143例で実地診療の後ろ向き調査を実施した【結果】経路移行は56経路にのぼり機械的パス適合率は58%であったしかしながらほぼ全例においてCPCの構造内で診療が完遂されておりプロセス選択の自由度を加味すれば当該CPCは異なる治療選択管理や合併症制御を含めて多施設での共用が可能と考えられた.また治療に要する総日数のみならず各ユニットの滞在日数や通常のパスではバリアンスとされるユニット巡回(複数回治療)治療後合併症頻度などが施設問で比較可能であった.【結論】患者状態により変化する医療介入を可視化・構造化するPCAPSにより急性胆管炎の診療計画を多施設で共有できる可能性が示されたPCAPSは診療ガイドラインを実地臨床のパスに展開する上で有用なツールとなりうる.コンテンツの改良と標準化を進め電子化までを視野に入れれば診療の質と安全を保障するとともに施設問の診療の質の比較や重症度ごとの医療資源必要度の解析などに資する有用な情報基盤を提供し得ると考えられた.本研究は平成19年度厚生労働科学研究「医療安全と質を保証する患者状態適応型パス統合化システム(PCAPS)開発研究」の一環として行われた.
索引用語