セッション情報 ワークショップ2.

消化器疾患治療におけるクリティカルパス

タイトル

W2-14 肝生検目的入院患者へのクリティカルパス使用経験

演者 長崎太(東北大学消化器内科)
共同演者 上野義之(東北大学消化器内科), 下瀬川徹(東北大学消化器内科)
抄録 くはじめに>DPC導入前後より当科には肝疾患関連で生検用IFN導入用癌治療用のパスが存在する.〈目的〉このうち最も汎用された肝生検用パス(超音波下腹腔鏡下用の二種)につき有効性について検討した.パス:生検前日までに入院し諸検査施行生検の意義や偶発症等の説明と同意書取得当日の処置安静度や観察項目翌日の検査が決められている問題なければ退院は生検翌々日.特に生検後合併症に早期に対応するため医師看護師それぞれの留意点を設定.〈結果〉腹腔鏡下田生検は2001年より253例(男性101例平均54.1歳)で使用.バリアンスは腹腔内癒着や肝容量不十分で生検不能11例(4.3%)気胸3例(12%)生検後出血1例(O.4%)いずれも保存的に治癒し死亡例なし疾痛や腹部症状による入院延長4例(1.6%).バリアンスは生検不能や入院延長は病期進行例高齢者や上腹部手術後症例で生じた。エコー下肝生検は2002年より合計217例(男性114例平均52.3歳)に使用.バリアンスは生検後出血2例(0.9%)死亡例1例(0.5%).パス導入により患者医療側ともに入院から退院までスムーズに流れている〈考察〉パスにより患者は具体的な入院後の検査日程検査後の注意点が明確になり医療側は特に注意すべき偶発症の早期発見対応が可能になった.医師は偶発症によるバリアンスの有無につき留意する点が明確となり看護師にも予め経過が把握できる点観察項目が明確である点など有用性がある.これまでの解析より高齢合併症のある患者でバリアンスが多いためリスクグループの抽出が可能になった.一方で偶発症を認めた症例ではパスの観察項目が十分に活用されていない場合も見られ今後の検討が必要であると考えられた.〈まとめ〉パスにより質の高い医療の提供が可能と考えられた.また当科では一般に侵襲性が大きい肝生検を病期進行例含め行なっているが重篤な偶発症の発生は少なくパス導入の臨床学的意義は十分あるものと考える
索引用語