セッション情報 ワークショップ2.

消化器疾患治療におけるクリティカルパス

タイトル

W2-15 胃食道逆流症に対する腹腔鏡下噴門形成術におけるクリティカルパス導入の効果

演者 小村伸朗(東京慈恵会医科大学外科学講座消化器外科)
共同演者 柏木秀幸(東京慈恵会医科大学外科学講座消化器外科), 矢永勝彦(東京慈恵会医科大学外科学講座消化器外科)
抄録 【背景】胃食道逆流症(GERD)に対する外科治療として腹腔鏡下噴門形成術はわが国においても標準術式として定着しつつある.同術式は手術手技が確立しており施設問での術式内容に差異がほとんど認められない.また基本的には術操作に消化管の切離や吻合操作がないため食事開始時期から退院までの術後のマネジメントがほぼ一定化しておりクリティカルパス導入におけるまさに格好の適応と考えられる.教室では1994年12月より同術式を施行しているが2004年8月よりクリティカルパスを導入した.【目的lGERDに対する腹腔鏡下噴門形成術におけるクリティカルパス導入の効果を検討した.【対象と方法】1994年12月から2007年10月までの閥にGERDに対して腹腔鏡下噴門形成術を施行した235例(男性:女性=142:93平均年齢53.0±162歳)中クリティカルパスを導入したのは75例(男性1女性=45:30平均年齢54.3±162歳)であった.これらの症例におけるバリアンスの頻度とその要因を検討した.またクリティカルパス導入前後における術後在院日数と再発率を併せて検討した【結果】バリアンスを6例(8%)に認めた.また患者希望による早期退院や退院延期を加えると18例(24%)であった.6例の内訳はつかえ感のため食事摂取不良が4例(5.3%)迷走神経麻痺に起因する急性胃拡張1例(L3%)遅発性食道穿孔1例(1.3%)であった.術後在院日数はクリティカルパス導入前の9.6土6.1(4~60)日に対し導入後は8.4±5.9(6~55)日であり導入後に有意に短縮した(p<0.05).術後再発は導入前の9例(5.1%)に対し導入後は5例(6.7%)と統計学的な差を認めなかった(p=0.89).【結語】GERDに対する腹腔鏡下噴門形成術はバリアンスが少なくクリティカルパスの良い適応と考えられた.またクリティカルパスの導入によって術後在院日数は短縮した.
索引用語