セッション情報 ワークショップ3.

多臓器病変を呈する消化器疾患

タイトル

W3-01 合併する自己免疫疾患別にみた原発性胆汁性肝硬変(PBC)の病態の相違-PBC全国調査結果から-

演者 廣原淳子(関西医大内科学第三講座)
共同演者 仲野俊成(関西医大大学情報センター医療情報部), 大西三朗(高知大学消化器内科)
抄録 【目的】原発性胆汁性肝硬変(PBC)には様々な自己免疫疾患が合併することはよく知られている.厚生労働科学研究費補助金難治性疾患克服研究事業「難治性の肝・胆道疾患に関する調査研究」班ではPBC症例を長期継続して追跡調査してきた.PBC全国調査登録例の合併症特に自己免疫疾患に注目し合併する疾患別にPBCの幻像と予後の相違について統計学的に解析し検討を行った.【方法】対象はPBC全国調査(調査期間1990年1月一2003年12月)登録症例4329例である.PBC診断時に合併する多臓器疾患について検討し加えて合併症を伴う症例群別に診断時病態および長期予後につき合併症を伴わない症例群と比較検討した生存率はKaplan-Meier法により解析しp<0.05を有意とした.研究対象とした症例の個人情報保護には十分な配慮を行った.【成績】PBC診断時に何らかの合併症の記載のあったものは約30%で自己免疫疾患866例(20.0%)が最も多く重複については1疾病81.9%2:14.93:3.04:0.3であった.その他消化器3.8%循環器25代謝20呼吸器0.9血液08腎泌尿器0.6婦人科0.3その他2.6であった.自己免疫疾患のうちではシェーグレン症候群(SS)慢性甲状腺炎関節リウマチの合併頻度が各調査年を通じて高かったSS合併群では非合併群に比較して女性高齢血清アルブミン低値血清総コレステロール低唱であったが症候性の有無および組織学的病期に有意差は認められず10年生存率も有意差はなかった.同様に慢性甲状腺炎関節リウマチ合併群と非合併群との生存率比較でも有意差は認められなかった【結論】主な自己免疫疾患合併群と非合併群においてPBCの生命予後に有意な影響を及ぼすとされる総ビルルビン値や組織学的病期に有意差は認められず生命予後にも有意差は認められなかった.合併する自己免疫疾患とPBCの病態の進展とは相関しないことが示唆された.
索引用語