抄録 |
【目的】全身性疾患である各種膠原病における肝障害の頻度や原因を明らかにし特に原発性胆汁性肝硬変症(PBC)と自己免疫性肝炎(AIH)については膠原病合併の有無による臨床像の差異を明らかにすることを目的とした.【対象と方法】当科で経験した膠原病患者551例を対象とし各膠原病患者に肝機能異常を伴った頻度検査成績およびその原因について検討した.またPBCを合併した強皮症(CREST症候群)シェーグレン症候群(Sjs)例およびAIHを合併したSLE例についてPBCAIH単独例との臨床的差異について比較検討した.【結果】膠原病全体では551例中213例(38.7%)で肝機能異常を認めた.疾患別では成人Stm病13/16(81.3%)皮膚筋炎/多発性筋炎14/27(51、9%)血管炎症候群12/25(48.0%)の順で多く認められた.肝障害の原因は薬剤性23.0%PBC16.4%原病に伴うもの16.0%脂肪肝6.6%AIH5.2%その他32.8%であった.強皮症やSjSではPBCがそれぞれ16/21(76.1%)14/20(70.0%)と最も多くSLEではAmが7/35(20.0%)と他の膠原病に比し多く認められた.強皮症を合併したPBC例ではPBC単独例と比しALTYGTPTBIgM値が有意に低値でStage 1-mの非硬変例における食道静脈瘤の合併率が有意に高かった.一方Sjsを合併したPBC群では単独群と比しIgG値が有意に高値で組織学的に進行した症例が多かった.SLE合併AmではAIH単独群と比し若年でAIHスコアが有意に高値で全例中等量以下のステロイド剤投与で寛解した。【結語】今回の検:討から各膠原病で肝障害の頻度やその原因は様々であることが再確認された。強皮症やSjSを合併したPBCSLEを合併したAIHでは単独例と臨床像に違いがありその病態に関して今後検討する必要がある. |