セッション情報 ワークショップ3.

多臓器病変を呈する消化器疾患

タイトル

W3-03 特発性血小板減少性紫斑病を合併した原発性胆汁性肝硬変

演者 早田哲郎(福岡大学医学部消化器内科)
共同演者 阿南章(福岡大学医学部消化器内科), 向坂彰太郎(福岡大学医学部消化器内科)
抄録 【はじめに】原発性胆汁性肝硬変(PBC)は中年以降の女性に好発する自己免疫性肝疾患であり他の自己免疫性疾患であるSjogren症候群慢性甲状腺炎慢性関節リウマチなどの合併はしばしばみられる.特発性血小板減少性紫斑病(ITP)は比較的若い女性に好発する自己免疫性疾患であるがPBCとの合併はまれとされている.【症例】患者の女性は27歳時にレイノー現象が出現し当院を受診した.WBC 6900/μ1Hb l3.4g/d1Plt 29.5万/μ1T.1)9.Og/dlAlb 4.5mg/dlT.bil O.5mg/dlAST 501U/1ALT 611U/1LDH 4071U/1ALP 6271U/1v-GTP1141U/1抗ミトコンドリア抗体160倍であり肝生検を含めた精査にてPBC stage IIと診断された.またこの時CREST症候群とSjogren症候群も診断された.ウルソとべザトールにて治療されたが肝・胆道系酵素の改善はみられなかった.この頃血小板数の低下はなかった.31歳時に突然下腹部痛と不正性器出血があり婦人科に入院した.この時血小板数0.3万/μ1と著明な血小板低下がありまた骨髄巨核球の著明な増加とPAIgGが高値であったことからITPと診断された.ステロイド治療を開始され血小板低下は改善傾向を認めた.【結語】PBCの経過中にITPを発症したまれな症例を経験した.本症例はPBCとしては発症が早く他の多くの合併症もみられまたウルソ・ベザトールに対して治療抵抗性であった.PBCとITPの合併はまれであるが自己免疫性肝炎やC型慢性肝炎と比較し考察を加えたい.
索引用語