抄録 |
【背景と目的1自己免疫性膵炎(AIP)には多彩な膵外病変が存在し塩山病変を契機にAIPが診断されることも少なくない. AIPの膵外i病変の頻度、発症時期予後に関して明らかにすることを本研究の目的とした.【対象と方法】当院および関連病院で診断された54例(男性44例女性10例平均64歳)を対象とした.AIPの膵外病変として報告されている硬化性胆管炎後腹膜線維症硬化性唾液腺炎間質性肺炎間質性腎炎甲状腺機能低下症について発症頻度発症時期予後を検討した.【結果1硬化性胆管炎19例(膵病変より前に発症0例同時発症8例経過観察後に発症11例)後腹膜線維症(同時9例後2例)硬化性唾液腺炎12例(前5例同時5例後2例)間質性肺炎4例(同時1例後3例)間質性腎炎1例(後)甲状腺機能低下症7例(前1例同時2例後4例)の発症が認められた経過観察後に発症した膵外病変のうちステロイド維持療法中にもかかわらず発症したのは硬化性胆管炎1/11例後腹膜線維症0/2例硬化性唾液腺炎0/2例間質性肺炎3/3例甲状腺機能低下1/4例であった.プレドニゾロン30mg以上の投与により島外病変も膵病変同様に改善を示したがAIP発症以前より高度に甲状心機能低下のみられた1例はチラーヂンの投与を現在も必要としている.上記膵外病変を認めないものは19例(35%)であったが膵外病変のある群とない群で患者背景(年齢性IgG4など)に特に差は認められなかった.【結論】自己免疫性膵炎には高頻度に膵外病変が存在する.ステロイド治療は慮外病変の治療に有効でありまた発症予防にも役立つものと考えられる.ただし間質性肺炎や進行した甲状腺機能低下症はステロイドに抵抗性を示す可能性がある. |