セッション情報 ワークショップ3.

多臓器病変を呈する消化器疾患

タイトル

W3-10 Helicobacter pyloriがMetabolic syndromeの発症に及ぼす影響の検討

演者 郡司俊秋(NTT東日本関東病院予防医学センター)
共同演者 松橋信行(NTT東日本関東病院消化器内科), 浦部晶夫(NTT東日本関東病院予防医学センター)
抄録 [背景と目的]Helicobacter rvlon’(Hp)感染は上部消化管疾患のみならず特発性血小板減少性紫斑病や虚血性心疾患など多彩な全身性疾患との関連性が示唆されている.しかし虚血性心疾患との相関に関しては否定的な報告も多い.そこでHp感染と動脈硬化危険因子との相関を明らかにする目的でHp感染がMetabolic syndrome(MetS)の発症に及ぼす影響を多変量解析により検討した.[対象]2006年4月一2007年3月における当センタードック受診者のうち生活習慣病治療中、急性・慢性感染症悪性腫瘍治療中ピロリ菌除菌治療歴のある症例を除外した男性5603名(482歳〉女性2018名(4a3歳).[方法]日本診断基準に従いMetS群を選定し且p感染の有無との相関を男女別年齢別に比較検討した.Hp感染がMetSの構成要因である血圧脂質血糖の代謝異常に及ぼす影響を生活環境因子(年齢性別BMI飲酒喫煙運動習慣食事習慣)を共変:量として用いたLinear regression analysisにより検討したさらにこれらの環境要因のうちMetS発症に独立した影響を及ぼす危険因子をLogistic regression analysisにより検討した[結果]MetS有病率は男性では若年(20-39歳)および中高年(40歳以上)のいずれの年齢層でもHp陽性群がHp陰性群に比較し有意に高率であった(14.8%vs&4%OR = 1.ZZpニO.002;202%vs17.1%OR=123p=0.016)一方女性ではHpの有無によるMetS有病率の相違は認めなかった環境要因で補正した結果Hp感染は血圧(SBP上昇)および脂質(HDL低下およびLDL上昇)と有意な相関を認めたLogistic regression analy・sisの結果Hp感染は男性におけるMetS発症に対し年齢BMI飲酒とともに独立した有意な危険因子であった.一方女性ではHp感染とMetS発症との問に有意な相関は認めなかった.[結語]Hp感染は主として脂質代謝に影響を及ぼす事により日本人男性におけるMetS発症の有意な危険因子であると思われる.
索引用語