セッション情報 ワークショップ3.

多臓器病変を呈する消化器疾患

タイトル

W3-11 多臓器病変を呈する小腸疾患におけるダブルバルーン内視鏡(DBE)の有用性

演者 大宮直木(名古屋大学大学院消化器内科学)
共同演者 丹羽康正(名古屋大学大学院消化器内科学), 後藤秀実(名古屋大学大学院消化器内科学)
抄録 【目的】小腸は全消化管の7一・8割の長さを占め他臓器全身疾患に小腸病変が合併することも多いためDBEの有用性を検討した.【対象】DBEを施行した遺伝性疾患はPeutz-Jeghers症候群(PJS)13例家族性大腸腺腫症(FAP)7例von Reckling・hausen病(vR)2例Rendu-Olser-Weber病(ROW)1例家族性アミロイドポリニューロパチー(AN)1例家族性地中海熱(FMF)1例.膠原病・免疫アレルギー・代謝疾患としてベーチェット病2例強皮症2例アレルギー性紫斑病2例ループス腸炎1例結節性多発動脈炎1例慢性関節リウマチによる続発性アミロイドーシス1例シェーグレン症候群1例原発性アミロイドーシス1例好酸球性胃腸炎1例循環器疾患はリンパ管拡張症1例.また原因不明の消化管出血162例の再出血率(観察期間中央値555日)を基礎疾患の有無で解析した.【結果】pjS12例にDBE下小腸ポリープ摘除術を施行した(平均摘除数19個).腺腫十二指腸癌を各1例認めた.摘除に伴う偶発症は腹痛2例急性膵炎1例.FAPは全例空腸に腺腫性小ポリープを認め1例は2cmの平坦隆起型の腺腫を伴っていた. vR1例は貧血を伴いDBEで小腸に潰瘍を伴う多発GISTを認めた. ROWは長年の便潜血を伴う鉄欠乏性貧血の既往歴と頻回な鼻出血の家族歴を有し腹部造影CT・血管造影で肝APシャントと膵周囲のAVMを認めDBEで十二指腸出血を確認したANは頑固な便秘と下痢を主訴としDBE所見は正常であったが生検でコンゴ赤染色陽性. FMFは典型的な周期性腹膜炎発作を有し発作時は大腸回腸の多発びらんを認めMEFV遺伝子異常を確認したその他の疾患では小腸潰瘍小腸炎慢性偽性腸閉塞等の所見だった.原因不明の消化管出血162例中小腸疾患は59%認められ基礎疾患の内訳は心血管疾患39例慢性腎不全21例肝疾患10例脳血管疾患9例呼吸器疾患9例血液疾患2例であった.再出血率は小腸血管奇形基礎疾患を有する例で有意に多かった【結語1多臓器病変を呈する小腸疾患の診療にDBEは有用だった
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