セッション情報 ワークショップ3.

多臓器病変を呈する消化器疾患

タイトル

W3-12 べーチェット病の臨床像と病態の解析

演者 石黒陽(弘前大学光学医療診療部)
共同演者 櫻庭裕丈(弘前大学消化器血液膠原病内科), 福田真作(弘前大学消化器血液膠原病内科)
抄録 【背景】ベーチェット病(BD)は慢性の全身性炎症性疾患であり臨床像は多彩であるが完全型は少なく鑑別診断治療に苦慮することも多い.当科における腸胃BDの臨床像と病態につて検討した.【方法】1. BD24例について皮膚症状口内炎陰部潰瘍眼病変およびHLA-B locus腸管病変について検討した.2BDではレンサ球菌群に対して高い感受性を示すことが示されていることからStreptococcus sanguis113-20株を超音波破砕して得られた細胞壁を用いBD患者およびUC患者の末梢血単核球の反応性と細胞内シグナル伝達経路について検討した.ステロイド未使用のBD 6例ステロイド未使用のUC 5例健常対照(control)4例から採取した末梢血単核球(PBMC)を用いた.【結果】1.24例中腸管病変を認めたのは10例であった.腸管病変のある10例中ブドウ膜炎を認めたのは2例に過ぎず外陰部潰瘍を認めたのは5例HLAB51陽性は4例に認められたが互いに重複することは少なく両方が認められたのは1例であった.内視鏡所見では右側大腸に打ち抜き潰瘍を認める症例が多かったが繰り返すアフタのみ連続性病変を伴う症例も見られた.2.1)非刺激時のTNF一α・IL-8産生量はUCでcontrolに比し有意に充血していたがBDはcontrolに比しいずれも差がなかったが細胞壁刺激によりいずれの群においても有意な増加がみられMG132SB203580で抑制された.2)cDNA microar士ayによる解析ではTNF一αII一8の発現はBD・UCいずれにおいても細胞壁刺激で増強しBDではUCに比しPK:RTLR2/NF一田の明らかな増加がみられたさらにBDにおけるリン酸化PKRの強発現をwestern blotで確認した.【考察】以上より腸型BDでは陰部潰瘍かHLAB51陽性が重要な付随所見であった.臨床症状は回帰的であることまたBD患者ではS.sanguis113-20株に対しPKRを介する経路がより強く関与し診断に寄与する可能性が示唆された.
索引用語