セッション情報 ワークショップ4.

消化管腫瘍の分子生物学的診断と治療

タイトル

W4-01 消化器癌におけるp53変異解析とマイクロサテライト不安定性解析の診断的意義

演者 沖英次(九州大学消化器・総合外科)
共同演者 掛地吉弘(九州大学消化器・総合外科), 前原喜彦(九州大学消化器・総合外科)
抄録 【はじめに】癌抑制遺伝子p53とマイクロサテライト不安定性(MicresatedhteInstabihty:以下MSI)は予後因子や抗癌剤感受性を規定する因子として検討されてきた.当院では後者のMSIについては1999年より病院検査部の業務として解析してきた今回MSI解析とp53変異解析の臨床応用の可能性について検討した.【方法】(1)遺伝子解析:p53の解析は変異のホットスポットであるExon 5-9をダイレクトシーケンスで解析した上対立遺伝子座の消失(Loss of heterozygosity:以下LOH)の解析も行なった.(2)MSI解析;5つのマイクロサテライトマーカーを用いた.MSI解析の業務化にあたっては疑陽性をなくし再現性のあるデーータを得るため癌部と園池部のゲノムを別々の蛍光標識のプライマーで増幅しオートシーケンサーに電気泳動する方法で行なった.【結果】(1)p53遺伝子異常;食道癌胃癌大腸癌を対象に108112157例の解析を行ない遺伝子変異は食道癌51例(472%)胃癌19例(17.6%)大腸癌36月頃22.9%)に認められた.胃癌大腸癌では分化型の癌でp53変異の頻度が高い傾向があった.食道癌胃癌大腸癌ともにp53 LOHを認める症例で予後が不良であった(p<0.01).(2)MSI解析:食道癌胃癌大腸癌を対象に108234324例の解析を行ないMSI-Hの症例をそれぞれ O.99.410.5%に認めた.胃癌大腸癌ともにMSI-Hとそれ以外の症例との間に予後の差を認めなかった.抗癌剤感受性を評価するため行なったMTT assayとの比較ではMSI-H群とそれ以外の症例で感受性に差を認めなかった.【考察】p53のLOHは食道癌胃癌ともに予後因子となっており今後も検討の意義があると考えられた.p53変異解析とMSI解析はこれまでのところ予後や抗癌剤感受性を予測する因子ではないが発癌の分子背景を推測する上では極めて重要であると考えられる
索引用語