セッション情報 |
ワークショップ4.
消化管腫瘍の分子生物学的診断と治療
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タイトル |
W4-02 胃癌におけるp53遺伝子多型の意義
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演者 |
白井修(名古屋大学大学院消化器内科学) |
共同演者 |
大宮直木(名古屋大学大学院消化器内科学), 後藤秀実(名古屋大学大学院消化器内科学) |
抄録 |
【目的]p53遺伝子はアポトーシスや細胞周期停止などを誘導し細胞の癌化抑制過程に重要な役割を果たす.胃癌においてp53遺伝子変異を進行度組織型に関係なく60%以上に認めp53と関連遺伝子の機能低下が胃癌の発生増殖浸潤転移に関与することが報告されている.今回我々はp53とその下流遺伝子p2エp53類似遺伝子p73遺伝子多型と臨床病理学的因子を含めた胃癌及びその予後との関連を検討した.【対象と方法】検診の胃X線内視鏡検査で胃癌が否定された非胃癌群419人当院で胃癌と診断された癌群309人目対象とし血中HplgG抗体価を測定ELISA value>2.2を陽性とし遺伝子多型はp53Arg72Pr{)p21Ser31Argp73G4C14/A4T14をPCR-CTTPでMDM2SNP309はPCR-RFLPで解析p53免疫染色(DOI)p53遺伝子変異(PCR-SSCPdirect sequenc-ing)も解析.【結果】年齢HplgG抗体陽性例1日2合以上の飲酒例で胃癌群が非胃癌群に比し有意に高く喫煙で胃癌群が有意に低かった. p53p21p73遺伝子多型と胃発癌のリスクに相関を認めなかったp53遺伝子多型と胃癌のstage占拠性部位根治度組織型Lauren分類間質量浸潤増殖様式リンパ管静脈侵襲リンパ節肝腹膜及び遠隔転移について検討し胃癌群のPro/ProがINFγ(OR:2.3)遠隔転移陽性例(OR:4.7)で有意に高かった.戸53異常との相関は認めなかった.p53遺伝子多型と胃癌の予後ではTNMB~IVで累積生存率がArg/Argに比しPro/Proで有意に低く(ハザード比:5.6)さらにp53とMDM2SNP309のハプロタイプではp53ArgキャリアとMDM2Tキャリアに比しp53Pro/ProとMDM2G/Gで有意に低かった(ハザード比:13.4).なおp21p73遺伝子多型と胃癌の予後には相関を認めなかった【結語】p53遺伝子多型Pro/Proの胃瘤では予後が不良でMDM2G/Gとの組み合わせによりさらにその予後が不良となった.TNM分類に加え遺伝子多型による胃癌の悪性度の評価をした治療方針や経過観察などの対応が可能となることが期待された. |
索引用語 |
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