セッション情報 ワークショップ4.

消化管腫瘍の分子生物学的診断と治療

タイトル

W4-03 胃分化型粘膜内癌の粘液形質に従った分子タイピング

演者 菅井有(岩手医科大学臨床病理部門)
共同演者 塚原光典(岩手医科大学臨床病理部門), 遠藤昌樹(岩手医科大学第一内科)
抄録 【目的1分化型胃癌を粘液形質に従ってLOH型とメチル化型(MSI型とnon-MSI型に亜分類)に分類することにより分化型初期胃癌の分子特性を明らかにすることを目的に本研究を行った.【材料及び方法】岩手医科大学において得られた分化型胃粘膜内癌108例(男性78例女性30例)を対象にした.組織学的内訳は高分化管状腺nt 98中分化管状線癌10例であった。腫瘍部分から生検鉗子で新鮮材料を採取し型のごとくDNAを抽出した. LOH及びMSIの解析にはPCR-LOH法によりメチル化の解析にはCOBRA法を用いた. LOH型の判定には5q17p18q3p4p9pの中から2個以上のLOHを示したものをLOH-high(LOH型)それ以下をLOH-lowとした.メチル化の判定はp16MLH-1MGMTRUNX3HPP-1RASSF2-ADKK-1SFRPZFP64SALL4の各遺伝子の中から3個以上メチル化陽性のものを高メチル化(メチル化型)それ以下のものを低メチル化とした.これらの結果から癌をLOH型メチル化型(MSI型とnon-MSI型に亜分類)混合型その他に分類した.腫瘍の免疫染色は生検近傍の標本を用いて自動免疫染色装置で行った.粘液形質については各種粘液形質抗体(MUC2CDIOMUC5ACMUC6HIK1083)を用い急心胃型混合型分類不能型に分類した加えてp53染色も行った.【結果】15例の置型形質ではLOH型は1例でMSIが4例non-MSI型が8例混合型1例その他1例であった一方51例の腸型形質ではLOH型が5例non-MSI型が34例混合型5例その他が7例であった.40例の混合型形質はLOH型が4例MSIが3例non-MSI型が25例混合型5例その他3例であった.分類不能は2例にみられいずれもnon-MSI型であった. p53陽性は胃型に最も多くみられた.【結謝1)各粘液形質ともメチル化型が多く脱メチル化により腫瘍の抑制が得られる可能性が示された.2)飛型形質の癌にはp53過剰発現が多く発癌抑制にはp53蛋白の抑制が重要であることが示唆された.
索引用語