セッション情報 |
ワークショップ4.
消化管腫瘍の分子生物学的診断と治療
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タイトル |
W4-06 microRNA発現プロファイリングを用いた胃MALTリンパ腫の診療戦略
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演者 |
斎藤義正(慶應義塾大学医学部消化器内科) |
共同演者 |
鈴木秀和(慶應義塾大学医学部消化器内科), 日比紀文(慶應義塾大学医学部消化器内科) |
抄録 |
【目的】microRNA(miRNA)は21-25塩基程度:の小さなRNAであり複数のターゲット遺伝子を抑制的に制御し癌をはじめとする多くの疾患の発生・進展に重要な役割を果たしている.一方胃MALTリンパ腫は多くの症例でHpylori除菌治療により寛解するもののAPI2-MALTIキメラ遺伝子が存在すると除菌治療に抵抗性であるとされ明確な治療方針は確立していない.本研究ではmiRNAの発現異常を解析することで胃MALTリンパ腫の発生機序の解明と新たな診断および治療戦略の開発を目指す.【方法】充分なインフォームドコンセントの下胃MALTリンパ腫患者から病変組織および正常組織を採取しRNAを抽出する.miRNA発現はマイクロアレイおよびTaqMan PCRで解析する. miRNAの発現プロファイリングと病理組織所見API2-MALTIキメラ遺伝子の有無除菌療法に対する反応などとの相関を検討するさらにH. heilmannii感染に伴う胃MALTリンパ腫モデルマウスで同様にmiRNAの発現異常やターゲット遺伝子の発現変化を検討する.【結果】胃MALTリンパ腫病変において造血系細胞特異的miRNAであるmiR-142miR-155miR-181miR-223の著明な発現上昇を認めた.特にmiR-142はAggressive B細胞白血病で転座を認める染色体17q22に位置しているまたmiR-155はバーキットリンパ腫や膵癌をはじめ多くの癌で過剰発現しており胃MALTリンパ腫でターゲット遺伝子であるTP531NP1の抑制を介して病変の発生・進展に重要な役割を果たしていることが示唆された.【結論lmR-142とmiR-155が胃MALTリンパ腫の新規分子マーカーになることが示された.miRNAの発現プロファイリングを染色体異常の有無や除菌治療に対する反応性の情報と組み合わせることで胃MALTリンパ腫の新たな診断・治療戦略の確立が可能であると考えられた. |
索引用語 |
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