セッション情報 ワークショップ5.

消化管癌の自然史を見直す

タイトル

W5-01 食道癌の自然史-内視鏡的経過観察例からの検討-

演者 長屋寿彦(名古屋大学消化器内科学)
共同演者 丹羽康正(名古屋大学消化器内科学), 後藤秀実(名古屋大学消化器内科学)
抄録 【目的】経過観察を行った症例の検討により食道癌の発育進展形式と時間的経過を明らかにすること.【対象】1995年9月から2007年5月までに当院および関連施設で内視鏡による経過観察が行われた無治療の表在型食道癌9例を対象とした.4例5病変はprospectiveに経過観察を行い(2例は民間療法を希望1例は高齢かつ治療拒否1例は他臓器癌による遠隔転移が疑われた)5例5病変はretrospectiveである.患者背景は平均年齢が65.3歳男女比が男=女=8:1肉眼型が0-1型1病変O-Ila nj 2病変0{【c型5病変0-IIa+Hc型1病変0-Ilc+IIa型1病変病変部位がTe 9病変(Ut 1病変Mt 4病変Lt 4病変)Ae 1病変組織型は扁平上皮癌9病変(高分化型2病変中分化型5病変低分化型1病変不明1病変)パレット腺癌1病変観察期間は最短10ヶ月最長41ヶ月で平均観察期間は21.2ヶ月であった.【方法】内視鏡的に肉眼型の変化腫瘍径(陥入成分隆起成分)の進展速度を比較検討した.【結果】経過観察中も粘膜下心内に留まっていた症例はMt 3例Lt 2例Ae 1例であり部位では下部食道で緩徐に進行する傾向にあった.肉眼型の変化は観察開始時にIIC成分を含むものは全例が2型腫瘍に0-1型O-Ila型など隆起成分のみの腫瘍は全例が1型腫瘍へと進展していた.陥凹成分は水平方向へは25.1±5.46%/年の増大率であったがt隆起成分は水平方向へは81.5±26.5%/年垂直方向へは82.6±22.1%/年の増大率であった.組織型では一定の傾向は認めなかった.【結論】食道癌の発育進展は初期では粘膜内に留まり水平方向に進展するが粘膜下層に浸潤し隆起成分が出現すると水平・垂直方向への進展が増強し急速な経過を辿ると考えられた.
索引用語